腸内寄生虫症
概要
消化管に寄生する線虫や原虫で、栄養を奪い消化管を刺激します。
主な症状
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臨床徴候
犬における腸内寄生虫症の臨床徴候は寄生虫種・寄生部位・寄生数により異なる。消化管寄生では下痢・嘔吐・体重減少・腹部膨満、外部寄生では掻痒・脱毛・皮膚炎、心血管寄生では咳・運動不耐性・腹水、血液寄生では貧血・発熱・元気消失を呈する。幼若・栄養不良個体では重症化しやすく、慢性経過では発育不良が顕著となる。
原因
回虫(Toxocara canis)、鉤虫(Ancylostoma caninum)、鞭虫(Trichuris vulpis)、条虫(Dipylidium caninum)、コクシジウム、ジアルジア。糞口感染が主経路。子犬は経胎盤・経乳感染あり。
病態生理
経口・経皮感染→消化管粘膜への付着・穿入→栄養吸収障害・粘膜損傷・出血。回虫は腸管内腔で栄養を奪い、鉤虫は吸血による貧血、鞭虫は大腸粘膜炎症、条虫は栄養吸収競合を引き起こす。大量感染時は腸閉塞のリスク。
診断
犬の腸内寄生虫症の診断は糞便検査に基づく。糞便浮遊法(硫酸亜鉛遠心法が標準): 回虫卵、鉤虫卵、鞭虫卵、条虫卵片節の検出。直接塗抹法: 運動性原虫(ジアルジア栄養体)の検出。糞便PCR: 高感度だが日常診断には過剰。糞便抗原検査: ジアルジア(SNAP Giardia)、クリプトスポリジウム。連続3日間の糞便検査で検出率向上(間欠的排卵のため)。回虫: 卵は硫酸亜鉛法で容易に検出。子犬では母体内感染により2-3週齢から排卵。鉤虫: 小型卵、貧血の評価(PCV)が重要。鞭虫: 間欠的排卵のため偽陰性多い。条虫(瓜実条虫): 糞便検査では検出困難、肛門周囲の片節観察が有用。
治療
犬における腸内寄生虫症の治療には、同定された寄生虫に応じた適切な駆虫薬が必要である。一部の駆虫薬は特定の種に有毒であるため、種に適した用量設定が重要である。全てのライフステージを排除するため複数回投与が必要な場合がある。環境消毒と接触動物の治療で再感染を防止する。貧血、脱水、栄養失調などの二次的合併症に対する支持療法を行う。
予防
月1回の広域駆虫薬(イベルメクチン・ミルベマイシン・フェンベンダゾール系)、子犬は2週齢から2週間隔で駆虫、年1〜2回の糞便検査、環境の糞便除去、ノミ駆除(条虫予防)。
予後
犬における腸内寄生虫症の予後は寄生虫種・寄生数・宿主免疫状態・治療反応性により異なる。早期発見と適切な駆虫薬投与により多くの寄生虫症は良好な予後だが、重度感染・心血管寄生虫・血液寄生虫では治療反応が遅延する。再感染予防のための環境管理・媒介動物制御の継続が長期予後を左右する。免疫不全状態では治療抵抗性となるため、基礎疾患管理も並行する。
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