ジャーマン・シェパード膵外分泌不全
概要
犬種素因のある膵腺房萎縮で、消化不良と吸収不良を引き起こします。
主な症状
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臨床徴候
犬におけるジャーマン・シェパード膵外分泌不全の臨床徴候は消化管病変の部位と病態により異なる。上部消化管: 嘔吐・吐血・食欲不振。小腸: 下痢(小腸性: 量多・回数少・体重減少を伴う)・嘔吐・腹痛。大腸: 下痢(大腸性: 量少・回数多・粘液・血便・テネスムス)。急性腹症: 強い腹痛・嘔吐・ショック徴候・腹部触診で腫瘤や緊張感(GDV・腸捻転・腸閉塞)は緊急評価が必要。
原因
膵外分泌不全症(EPI)は膵腺房細胞の機能喪失による消化酵素分泌の不足で、犬で最多の原因は若齢発症の膵腺房萎縮(PAA、自己免疫性;ジャーマン・シェパード、ラフ・コリーに強い素因)である。その他、慢性・反復性膵炎による腺房破壊(中高齢)、まれに膵管閉塞・膵低形成がある。
病態生理
消化酵素(リパーゼ・アミラーゼ・プロテアーゼ)の分泌が正常の約10%未満に低下すると、栄養素の管腔内消化・吸収が破綻する。未消化栄養の大量排泄により、多食にもかかわらず体重減少、脂肪便・大量軟便、被毛不良を生じる。小腸内細菌異常増殖(SIBO/ARD)やコバラミン(ビタミンB12)欠乏を併発しやすい。膵酵素補充とコバラミン補給が治療の柱である。
診断
ジャーマン・シェパード膵外分泌不全(EPI)の診断は血清TLI(トリプシン様免疫反応性)測定が確定的。犬TLI<2.5 μg/Lで確定診断(正常: 5.0-35.0 μg/L)。12時間絶食後の採血が必須。臨床徴候:大量の脂肪便(脂肪便)、体重減少(食欲亢進にもかかわらず)、食糞。血清コバラミン(B12)低下(回腸吸収障害)、葉酸上昇(SIBO合併時)。便中脂肪(スーダンIII染色)定性検査は補助的。GSDでは膵腺房細胞萎縮(PAA)が原因で、自己免疫機序が示唆される。遺伝的素因あり。鑑別:IBD、食物反応性腸症、消化管リンパ腫。治療:膵酵素補充療法(食事毎に混合)。
治療
膵外分泌不全(EPI、ジャーマンシェパード好発):膵酵素補充療法(PERT)生涯投与。粉末状膵酵素を毎食に混合(1-2 tsp/食事)。食事は低脂肪・高消化性。コバラミン(ビタミンB12)補充 250-1000 μg SC q7日×6週→q30日。TLI検査で確定(<2.5 μg/L)。好発:ジャーマンシェパード(膵腺房萎縮、遺伝的素因)。(Westermarck et al., JVIM 2005)
予防
犬におけるジャーマン・シェパード膵外分泌不全の予防は栄養管理と環境管理が中心。バランスの取れた高品質食、急激な食事変更回避、食物アレルゲンの特定と除去食。草食動物(ウサギ・モルモット・チンチラ・デグー): 高繊維チモシー乾草を給与量の80%以上、ペレット過剰摂取回避、新鮮野菜の段階的導入。異物誤食予防(玩具・包装材・植物の管理)。定期的駆虫、ストレス管理、適切なワクチネーション。
予後
犬におけるジャーマン・シェパード膵外分泌不全の予後は原因病態・脱水と電解質異常の程度・治療開始時期により異なる。早期診断と病態に応じた適切な治療・モニタリングにより多くの症例で良好な経過が期待できるが、進行例・合併症を伴う例では予後が悪化しうる。
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