キシリトール中毒
概要
キシリトール(白樺糖/無糖甘味料)摂取による重度の低血糖と肝毒性。犬は独自の高感受性を持つ—キシリトールが大量の膵インスリン放出を引き起こす(ヒトでは見られない)。低血糖用量:>0.1 g/kg;肝毒性用量:>0.5 g/kg。一般的な摂取源:シュガーフリーガム(1粒0.3〜1 g)、無糖飴、一部のピーナッツバター、焼き菓子、マウスウォッシュ、ビタミンサプリ。
主な症状
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臨床徴候
犬におけるキシリトール中毒の臨床徴候は毒性物質の種類と曝露量により急性〜慢性まで多様。消化器症状(嘔吐・下痢・流涎・腹痛)が最も一般的な初期所見。神経毒では振戦・痙攣・運動失調・昏睡。肝毒では黄疸・凝固障害・肝性脳症。腎毒では乏尿・尿毒症徴候。血液毒では貧血・出血傾向・メトヘモグロビン血症。心血管毒では不整脈・低血圧・ショック。急性曝露では症状発現が迅速で、早期除染と支持療法が予後を決定する。
原因
シュガーフリーガム(1粒0.3〜1 gキシリトール)、無糖飴/ミント、一部のピーナッツバター(成分表確認必須)、焼き菓子、マウスウォッシュ、歯磨き粉、ビタミングミ、点鼻薬。低血糖:5 kgの犬でガム1〜2粒が中毒量になりうる。
病態生理
キシリトール→膵β細胞からの急速なインスリン放出(用量:>0.1 g/kg)→重度低血糖(摂取後10〜60分でBG<60 mg/dL)→けいれん・昏睡。高用量(>0.5 g/kg)→肝毒性機序は不明(ミトコンドリアのATP枯渇の可能性)→急性肝壊死→凝固障害・DIC(摂取後12〜48時間)。犬はキシリトールのインスリン放出効果に対してヒトの7倍以上の感受性。
診断
キシリトール含有製品(ガム、菓子、歯磨き粉、ピーナッツバター)の摂取歴。低血糖(摂取後10-60分で発現): 嘔吐→虚脱、振戦、発作、昏睡。血糖<60mg/dL。肝毒性(>0.5g/kg): 摂取後12-72時間で肝酵素上昇(ALT/ALP著増)、凝固障害、肝不全。用量: >0.1g/kgで低血糖、>0.5g/kgで肝壊死。ガム1個にキシリトール0.3-1.0g。PT/APTT延長、高ビリルビン。肝エコーで肝実質輝度変化。連続血糖モニタリング必須。
治療
即時のGI除染(摂取後30分以内、犬が意識明瞭):アポモルヒネ0.03 mg/kg IV→活性炭1〜3 g/kg PO(キシリトールへの吸着は限定的)。低血糖管理:50%ブドウ糖0.5〜1 mL/kg IV緩徐投与(25%に希釈)→BG 80〜150 mg/dLを維持するブドウ糖CRI(2.5〜5%ブドウ糖含有LRS);12〜24時間は1〜2時間毎にBGモニタリング。補充ブドウ糖なしで6時間BG安定するまで退院させない。肝毒性の予防/管理(用量>0.5 g/kg またはALT上昇時):N-アセチルシステイン(NAC)140 mg/kg IV負荷(5%ブドウ糖希釈、15分かけて)→70 mg/kg IV 6時間毎×7回(フリーラジカル捕捉剤、グルタチオン補充);SAMe 20 mg/kg/日 PO(肝保護);シリマリン(ミルクシスル)50〜100 mg/kg/日 PO。凝固障害:新鮮凍結血漿10〜20 mL/kg(PT/PTT延長または活動性出血時);ビタミンK1 1〜5 mg/kg SQ。けいれん管理(重度低血糖):まずIVブドウ糖;難治性の場合はジアゼパム0.5〜1 mg/kg IV;重積状態にはフェノバルビタール。肝不全に対するIV輸液(LRS)支持療法。肝毒性用量では最低48〜72時間の入院。
予防
キシリトール含有製品のペットからの完全隔離。ピーナッツバター購入時の成分表確認。家族(特に子供)への「シュガーフリー」製品に含まれるキシリトールについての教育。緊急時の中毒センターへの連絡。
予後
低血糖のみ(用量<0.5 g/kg):迅速なブドウ糖治療で優良。肝毒性用量(>0.5 g/kg):慎重—肝障害の重症度に依存;DIC発生前に積極的なNAC治療と支持療法があれば大部分が生存。DICまたは重篤な凝固障害:不良。低血糖が明らかになる前の早期治療が予後を劇的に改善。
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