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犬 (Dog) 消化器 緊急

ソテツ中毒

Sago Palm Toxicosis / ソテツ中毒

概要

ソテツ(Cycas revoluta)摂取による電撃性肝不全—犬において最も致死的な植物中毒のひとつ。種子/ナッツに毒素濃度が最高(サイカシン)。致死率:積極的治療でも50〜75%。全部位が毒性を持つが特に種子。日本では一般的な観葉/庭園植物—犬がアクセスできる庭や屋内に植えられている場合の重大なリスク。致死量:中型犬で1〜2個の種子。

主な症状

食欲不振 腹部膨満 血便 下痢 無気力 痙攣 嘔吐

原因

ソテツ(Cycas revoluta)、ザミア属、その他のソテツ科植物の種子/ナッツを摂取。犬が種子をおもちゃとして噛む。落下した種子/果実が庭に。屋内観葉ソテツ。全ソテツ種が毒性を持つ;ソテツ(Cycas revoluta)が日本では最多。公園・植物園・ホテルの庭・道路植栽にも植えられている。秋の種子産生期にリスク増加。

病態生理

全ソテツ部位のサイカシン(メチルアゾキシメタノール配糖体)→腸内細菌のβ-グルコシダーゼが切断→メチルアゾキシメタノール(MAM)放出→(1)肝臓のDNAアルキル化→小葉中心性〜びまん性肝壊死→急性肝不全(発症24〜72時間);(2)GI粘膜への直接傷害→嘔吐/下痢/出血(発症15分〜4時間);(3)CNS:未解明の神経毒成分→後期にけいれん。種子には最高濃度のサイカシンが含まれる—1個の種子が致死的MAM用量を供給しうる。初期GI期後の遅延発症が誤った安心感を招く。

治療

緊急—直ちに積極的治療を開始しないと予後は絶望的。消化管除染(摂取後1〜2時間以内、意識明瞭):アポモルヒネ0.03 mg/kg IV(検査結果を待たずに)→活性炭1〜3 g/kg PO 4〜6時間毎×48〜72h(サイカシンは腸肝循環を受ける—活性炭の反復投与が必須)。肝保護療法(酵素値に関わらず直ちに開始):(1)NAC:140 mg/kg IV負荷→70 mg/kg IV 6時間毎×7回;(2)SAMe:20〜40 mg/kg/日 PO;(3)シリマリン(ミルクシスル):50〜100 mg/kg/日 PO。IV輸液:積極的LRS 4〜6 mL/kg/h+ブドウ糖(BG>80 mg/dLを維持)。肝不全管理:FFP 10〜20 mL/kg(凝固障害);ビタミンK1 2.5〜5 mg/kg SQ;ラクツロース2.5〜15 mL 8時間毎 PO(肝性脳症の窒素トラッピング);メトロニダゾール7.5 mg/kg PO TID(アンモニア産生腸内細菌の減少)。GI保護:オメプラゾール1 mg/kg IV、スクラルファート0.5〜1 g 6〜8時間毎。けいれん管理:ジアゼパム0.5〜1 mg/kg IV→レベチラセタム20 mg/kg IV(フェノバルビタールは肝代謝でさらに肝臓を負荷するため回避)。最低3〜5日間入院。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • For Antioxidant (アスタキサンチン+SOD+VitE+システイン): 抗酸化・慢性疾患免疫サポート • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート • NMNミトコンドリアアシスト (NMN+α-リポ酸+システイン+プロバイオティクス): 細胞エネルギー代謝・サーチュイン活性化・抗老化 • Booster & Relax (アダプトゲン+Bビタミン複合体): ウイルス後回復・内分泌疾患エネルギー補給・高齢期慢性疲労 ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意

予防

犬がアクセスできる庭・庭園からのソテツ植物の完全撤去。ソテツを残す場合:種子に犬がアクセスできないよう完全な物理的バリア(柵・高所配置)。ソテツの全部位が毒性を持つことをオーナーに教育—種子は犬に特に魅力的。いかなる摂取疑いでも即時に緊急受診。ペット安全な植栽の代替を検討。

予後

全体的に非常に不良—積極的治療でも致死率50〜75%。肝不全確立(ALT>100倍正常・PT延長):不良/絶望的。72〜96時間後も改善する肝臓値で生存した犬:慎重だが2〜4週間で回復の可能性あり。生存犬での完全な肝機能回復が可能。不良な予後因子:PT延長・重度低血糖・DIC・けいれん・無尿性腎不全。重要:症状を待つな—確定したソテツ摂取後は犬が正常に見えても直ちに治療を開始すること。GI除染+肝保護の「治療の窓」(6〜24時間)が転帰を変える唯一の機会。

関連する薬品

💊 メトロニダゾール 💊 オメプラゾール 💊 スクラルファート 💊 ラクツロース 💊 フェノバルビタール 💊 モルヒネ 💊 ロニダゾール 💊 シリマリン(マリアアザミ) 💊 活性炭 💊 アポモルフィン

※ 薬品辞書で詳細な投与量・副作用情報を確認できます

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