トキサスカリス感染症
概要
トキサスカリス回虫による腸管感染で、子犬と成犬に栄養不良を引き起こします。
主な症状
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臨床徴候
犬におけるトキサスカリス感染症の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
犬の回虫症は消化管内寄生線虫(イヌ回虫 Toxocara canis/ネコ回虫 T. cati/馬回虫 Parascaris 等)による。虫卵の経口摂取、経乳・経胎盤感染、待機宿主の捕食で感染する。
病態生理
幼虫は体内移行(肝・肺)を経て小腸で成虫となり、栄養を奪って発育不良・腹部膨満・削痩・下痢を起こす。多数寄生では腸閉塞・腸穿孔を招き、幼虫移行はヒトの内臓幼虫移行症の原因ともなる。
診断
糞便検査で卵径75-85μmの亜球形虫卵を検出(浮遊法: ZnSO₄/NaCl飽和溶液)。Toxocara canis との鑑別: T. leonina卵は滑らかな外殻。T. canisは粗い外殻+亜球形。糞便中への成虫排出で肉眼的に確認可能。CBC/生化学は概ね正常(軽度好酸球増加)。内臓幼虫移行症のリスクはT. canisより低い。定期的糞便検査と予防的駆虫。
治療
犬におけるトキサスカリス感染症の治療には、同定された寄生虫に応じた適切な駆虫薬が必要である。一部の駆虫薬は特定の種に有毒であるため、種に適した用量設定が重要である。全てのライフステージを排除するため複数回投与が必要な場合がある。環境消毒と接触動物の治療で再感染を防止する。貧血、脱水、栄養失調などの二次的合併症に対する支持療法を行う。
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予防
犬におけるトキサスカリス感染症の予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。
予後
犬におけるトキサスカリス感染症の予後は病原体の毒力・宿主免疫状態・治療開始時期・基礎疾患の有無により大きく異なる。早期診断と適切な抗病原体療法・支持療法により多くの感染症は良好な予後となる。宿主の免疫抑制・若齢・高齢・多臓器不全併発例は予後不良となりうる。再発・慢性化・薬剤耐性発現も予後に影響する重要因子である。
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