ヘパトゾーン症
概要
マダニ媒介の原虫疾患で、筋肉痛・発熱・消耗を引き起こします。
主な症状
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臨床徴候
犬におけるヘパトゾーン症の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
犬におけるヘパトゾーン症の原因は特定の細菌病原体の感染である。病原性細菌が体内に侵入(経口・経皮・経気道・媒介動物)し、増殖・毒素産生・組織浸潤により疾患を引き起こす。宿主免疫抑制(ストレス・栄養不良・併発疾患)、抗菌薬の不適切使用による菌叢異常、汚染環境への持続的曝露、咬傷・外傷からの侵入が主要リスク。近年の薬剤耐性菌(MRSP・ESBL産生菌)の出現が治療上の課題となっている。
病態生理
ヘパトゾーンは感染マダニの捕食・摂取で犬に感染する原虫で、腸管から実質臓器・筋・骨に播種する。H. americanumは筋・骨膜に重度の化膿性肉芽腫性炎症を起こし、激しい疼痛・歩様異常・骨膜増殖・好中球増多をきたす。H. canisは脾・骨髄・リンパ節を侵し貧血・削痩を生じる。
診断
H. canis型: 無症状~軽度。H. americanum型: 高熱、筋痛(背部過敏)、骨膜増殖(X線で骨幹部骨膜反応)、好中球著増(20,000-200,000/μL)。血液塗抹で好中球内のgamont(楕円形、11×5μm)を検出(感度低い)。筋生検(半腱様筋/大腿二頭筋)でメロゾイトのオニオンスキン型シスト確認(H. americanum)。PCR(18S rRNA)で種同定。ALP著増、低アルブミン。マダニ(ヘモフィサリス)の経口摂取で感染。
治療
犬のヘパトゾーン症は原因種で治療が異なる。H. canis感染にはイミドカルブジプロピオン酸塩5-6 mg/kg IM/SCを2週間隔で原虫血症が消失するまで反復。アメリカ型(H. americanum)にはTMS+クリンダマイシン+ピリメタミンの三剤併用(TCP)を14日、続いてデコキネート10-20 mg/kg PO q12hを長期投与し再発を抑制する。疼痛・発熱・削痩に対する支持療法とマダニ駆除を併用する。
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予防
犬におけるヘパトゾーン症の予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。
予後
犬におけるヘパトゾーン症の予後は病原体の毒力・宿主免疫状態・治療開始時期・基礎疾患の有無により大きく異なる。早期診断と適切な抗病原体療法・支持療法により多くの感染症は良好な予後となる。宿主の免疫抑制・若齢・高齢・多臓器不全併発例は予後不良となりうる。再発・慢性化・薬剤耐性発現も予後に影響する重要因子である。
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