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犬 (Dog) 消化器 緊急

食道異物

Esophageal Foreign Body / 食道異物

概要

食道に異物が嵌入した状態。

主な症状

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臨床徴候

犬における食道異物の臨床徴候は消化管病変の部位と病態により異なる。上部消化管: 嘔吐・吐血・食欲不振。小腸: 下痢(小腸性: 量多・回数少・体重減少を伴う)・嘔吐・腹痛。大腸: 下痢(大腸性: 量少・回数多・粘液・血便・テネスムス)。急性腹症: 強い腹痛・嘔吐・ショック徴候・腹部触診で腫瘤や緊張感(GDV・腸捻転・腸閉塞)は緊急評価が必要。

原因

骨(加熱・生、特に鶏・豚肋骨)、ガム/ローハイド、釣り針、針、石、プラスチックおもちゃ、ボール。リスク因子:早食い、監視不足、飼い主による不適切なおやつ。

病態生理

食道異物は典型的に自然解剖学的狭窄部に嵌頓:胸郭入口(犬で最多)、左心房上の心臓基部、横隔膜裂孔の尾側食道。骨片、釣り針、ローハイド、ガム(ローハイド結び目端)、針、石が最頻。異物が食道粘膜を圧迫し毛細血管灌流圧(約30 mmHg)を超え数時間-数日で圧迫壊死を発症、貫壁性壊死から食道穿孔を起こし敗血症性縦隔炎(部位により頸部または胸部)、胸水、膿胸を生じる。完全食道閉塞で唾液嚥下不能となり持続的流涎と逆流物誤嚥が起こる、肺炎は30-50%の症例で発症。鋭利異物は直接穿孔または縦隔、肺、心膜、大血管へ移行しうる。短頭種と小型犬種は無分別摂食のため素因あり、コッカースパニエルと小型テリアが最頻発。食道狭窄は長期閉塞または異物除去後の頻発合併症で、円周性粘膜損傷と粘膜下線維化による。

診断

頸部/胸部X線で食道内の放射線不透過性異物(骨が最多)を確認。造影検査で透過性異物を検出。内視鏡で異物の直接確認・位置・食道壁損傷を評価。同時に内視鏡的摘出を試みる。CT三次元再構成で異物と周囲構造(大動脈、気管)の関係を評価。嗜好部位: 胸部入口部、心基底部、横隔膜直前。嘔吐・吐出・流涎・嚥下困難の臨床症状。

治療

内視鏡的回収が選択治療。安定化:脱水あれば輸液、疼痛にオピオイド(メサドン0.2 mg/kg IV)、穿孔疑いなら抗生剤(アンピシリン-スルバクタム22 mg/kg IV q8h+エンロフロキサシン10 mg/kg IV)。側臥位頸部・胸部X線でX線不透過異物(骨、金属)位置同定、X線透過異物にはヨード造影食道造影(穿孔疑い時バリウム禁忌)。複雑例にCT。気管チューブカフ付きで全身麻酔。経口胃ルートで内視鏡的回収—鋭利/大型異物には硬性内視鏡、ほとんどの症例には軟性ビデオ内視鏡+rat-toothまたは把持鉗子。小型平滑異物(円形骨<2-3 cm)は胃へ押し込む(胃酸が7-14日で骨溶解、または胃切開)。鋭利/貫通異物(釣り針)は食道切開が必要なことあり。胃内鉗子またはポリープスネアで把持。手技中生食洗浄。除去後内視鏡で粘膜損傷評価:軽度びらん(円周<50%)は保存的管理、円周>75%損傷は狭窄リスク高く積極的予防要。失敗内視鏡、穿孔、移行異物には外科的食道切開。術後:12-24時間絶食後5-7日流動食、2-4週間軟食。粘膜損傷広範なら抗生剤7-14日。潰瘍粘膜にスクラルファート0.5-1 g PO TID-QID。オメプラゾール1 mg/kg PO BID。狭窄予防:内視鏡時円周性損傷あれば予防的バルーン拡張、プレドニゾロン漸減投与は議論あり。狭窄監視(除去1-3週後の逆流)、食道バルーン拡張3-5セッションで多くは解決。

予防

骨給餌を避ける(特に加熱鶏・豚骨—より安全な代替は飲み込めない大型生レクリエーション骨、噛むおもちゃ、デンタルトリーツ)。おもちゃ/ガムで遊ぶ犬を監視。適切サイズの噛むおもちゃを選択(小型おもちゃは大型犬に飲まれる)。「離せ」コマンド徹底。短頭種/早食い犬種は特に注意深い監視必要。

予後

非合併症内視鏡除去で予後極めて良好(生存率>95%)。縦隔炎を伴う食道穿孔で予後悪化(生存率60-80%)。10-20%で狭窄発症、通常バルーン拡張で奏効。長期合併症:反復性逆流、巨大食道(稀)、気管支肺炎。

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