腸間膜捻転
概要
腸間膜根部を軸とした腸管捻転→広範腸管虚血・壊死→エンドトキシン血症→敗血症性ショック。致死率極めて高く(80-100%)、数時間以内に致死的となる超緊急疾患。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示す犬の他の疾患を確認できます
臨床徴候
犬における腸間膜捻転の臨床徴候は病態と進行段階により多様である。一般的非特異的所見(食欲不振・元気消失・体重減少)に加え、罹患臓器・系統に特異的な症状が顕在化する。病歴聴取と詳細な身体検査により症状パターンを把握し、補助検査で確定診断に至る。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
原因
ジャーマンシェパード(症例の70%)、外分泌膵不全(腸管運動異常)、前回腹部手術(癒着)、食後の過激な運動、深胸の大型犬種。
病態生理
腸間膜根部を軸とした腸管の捻転→腸間膜動静脈の絞扼→広範な腸管虚血・壊死→エンドトキシンの全身循環への流入→敗血症性ショック→DIC→多臓器不全。GDV(胃捻転)と同様に超緊急疾患。致死率は極めて高い(80-100%)。症状は急性腹症として発症し、数時間で致死的となる。
診断
急性腹症: 激しい腹痛、嘔吐、急速な循環虚脱、ショック。腹部X線: 複数腸管の著明な拡張、air-fluid level。腹部エコーで腸管壁の血流低下。腹部CT造影で腸間膜血管の捻転(whirl sign)、腸管壊死を評価。CBC: 白血球増加→減少(ショック進行)。血液ガスで代謝性アシドーシス。乳酸値上昇。緊急開腹手術が唯一の治療。致死率60-80%以上。ジャーマンシェパード等の大型犬に好発。GDVとの鑑別。
治療
外科的超緊急。開腹・腸間膜捻転解除→腸管生存性評価(ウォーミング後にピンク色・蠕動あり=生存、黒色/灰色=壊死)→壊死腸管切除・吻合。切除範囲が広い場合は短腸症候群リスク(最低30 cm空腸+盲腸弁、または70 cm)。術前:輸液蘇生(晶質液+コロイド液)+広域抗菌薬(アンピシリン+エンロフロキサシン+メトロニダゾールIV)。広範壊死時は安楽死も選択肢となりうる。
予防
大型犬の食後激しい運動を回避。リスク犬種への予防的胃固定術の検討。外分泌膵不全患者の定期モニタリング。
予後
極めて不良。手術実施でも死亡率70-100%。発症から1-2時間以内かつ腸管壊死が軽微な場合のみ生存可能性あり。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
消化器の他の疾患(犬)
VetDictで犬の鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。