肝微小血管異形成(MVD)
概要
肉眼的な門脈体循環シャント(PSS)を伴わない微小な肝内門脈血管の先天的異常。ヨークシャーテリア、ケアンテリア、マルチーズ等に好発。多くは無症候性で胆汁酸値の軽度上昇のみ。PSSとの鑑別が重要。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示す犬の他の疾患を確認できます
臨床徴候
犬における肝微小血管異形成(MVD)の臨床徴候は病態と進行段階により多様である。一般的非特異的所見(食欲不振・元気消失・体重減少)に加え、罹患臓器・系統に特異的な症状が顕在化する。病歴聴取と詳細な身体検査により症状パターンを把握し、補助検査で確定診断に至る。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
原因
先天的な肝内微小血管の発達異常。遺伝的素因(小型テリア犬種)。PSSの修復術後に残存する微小シャントとしても見られることがある。
病態生理
肝内の微小門脈分枝の先天的低形成→門脈血の一部が肝類洞を迂回→軽度の肝機能低下。PSSほど重度ではなく、アンモニア代謝能は部分的に保たれる。胆汁酸値は軽度〜中等度上昇するが、アンモニア値は正常〜軽度上昇。
診断
肝微小血管異形成(MVD)の診断は食前・食後の総胆汁酸(TBA)測定から疑う。食前TBA正常〜軽度上昇、食後TBA上昇(>25 μmol/L)。NH3正常〜軽度上昇。画像検査(超音波、CT血管造影)で巨視的門脈体循環シャント(PSS)を除外(MVDではシャント血管は検出されない)。確定診断は肝生検:門脈の低形成、小葉間静脈の減少、微小血管の異常を組織学的に確認。超音波:肝臓は小型、門脈血流は正常〜軽度低下。好発犬種:ヨークシャー・テリア、ケアーン・テリア。鑑別:先天性PSS(画像で鑑別)。多くは無症候性で予後良好。
治療
多くは治療不要(無症候性の場合)。症候性の場合:肝臓サポート食(低〜中タンパク・高品質タンパク)、ウルソデオキシコール酸、SAMe、ラクツロース(高アンモニア血症時)。外科適応なし(微小血管の異常であり手術で矯正不可)。PSSとの鑑別診断が最も重要。
PRPR・自社製品(補助療法オプション)
予防
罹患犬の繁殖制限。好発品種では胆汁酸検査によるスクリーニング。
予後
予後良好〜極めて良好。多くの症例で正常な寿命を全うする。臨床症状が出ることは稀であり、偶発的に発見されることが多い。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
消化器の他の疾患(犬)
VetDictで犬の鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。