非典型的副腎皮質機能低下症(非典型的アジソン病)
概要
ミネラルコルチコイド(アルドステロン)機能温存・グルコ単独欠乏型。電解質正常のため見逃しやすい。30-40%が後年(数ヶ月-数年)に典型例(Na/K異常)に進行する。
主な症状
原因
原発性非典型:免疫介在性副腎皮質破壊の早期段階(後に典型例に進行)。二次性:下垂体腫瘤(macroadenoma)、医原性(慢性ステロイド離脱→ACTH抑制)、外傷性脳損傷、リンパ球性下垂体炎(稀)。好発犬種(典型例同様):スタンダードプードル、ポルチギーズウォータードッグ、ビアデッドコリー、ノバスコシアダックトーリングレトリーバー、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ウィートン・テリア;雌雄比 2-3:1。
病態生理
束状帯(コルチゾール)・網状帯(DHEA)の選択的免疫介在性破壊、球状帯(アルドステロン)は温存。機序不明だが、早期段階の副腎皮質自己免疫病態の可能性。コルチゾール欠乏:糖新生障害→低血糖;抗炎症機能喪失;カテコラミンへの許容効果喪失→基礎低血圧;消化管粘膜バリア低下→嘔吐・下痢・血便;ストレス応答障害。アルドステロン温存:基礎Na/K恒常性正常、電解質正常で見逃される(「胃腸炎」「PLE」誤診)。ACTH欠乏型(二次性):下垂体機能不全→孤立性コルチゾール欠乏、球状帯非関与(アルドステロン保持)。診断はベースラインコルチゾール+ACTH刺激試験(post-ACTH cortisol <2 μg/dL確診)。内因性ACTHで原発性(ACTH高)と二次性(ACTH低)鑑別。
治療
急性クリーゼ(非典型でも稀に発生):0.9% NaCl IV 60-90 mL/kg/h初期、維持輸液移行;デキサメタゾンリン酸ナトリウム 0.1-0.2 mg/kg IV(コルチゾール測定に干渉しない);理想的にはステロイド投与前にACTH刺激試験。維持:プレドニゾロン 0.1-0.25 mg/kg PO q24h(低用量)、臨床反応に応じて滴定し医原性クッシング様変化を最小化。アルドステロン保持のためミネラルコルチコイド(DOCP、フルドロコルチゾン)不要。ストレス用量:疾患・手術・預かり時に2-4倍(待機手術:術前24時間-術後3日は3倍量)。モニタ:臨床所見、体重、Na/K(3-6ヶ月毎;30-40%が数ヶ月-数年で典型例に進行しDOCP追加必要)。ACTH刺激再評価は臨床悪化時。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • Booster & Relax (アダプトゲン+Bビタミン複合体): ウイルス後回復・内分泌疾患エネルギー補給・高齢期慢性疲労
予防
原発性予防なし(自己免疫・特発性)。慢性ステロイド治療犬での急激中断回避(数週で漸減)。非特異的消化器症状+元気消失+低アルブミン血症の犬(特に好発犬種)では早期コルチゾールスクリーニング。
予後
適切な診断と生涯ステロイド補充で予後良好、生涯はほぼ正常。30-40%が数ヶ月-数年で典型例に進行(電解質モニタ必須)。プレドニゾロン過量で医原性クッシング;用量最小化。疾患時にストレス用量未投与でクリーゼリスク。
関連する薬品
※ 薬品辞書で詳細な投与量・副作用情報を確認できます
内分泌の他の疾患(犬)
VetDictで犬の鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。