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犬 (Dog) 呼吸器 軽度

変性性脊髄症(DM)

Degenerative Myelopathy (DM) / 変性性脊髄症(DM)

概要

脊髄白質の進行性・非疼痛性変性。上位運動ニューロン性後肢不全麻痺→麻痺→前肢→呼吸筋障害へと昇行する。犬のALS相当。発症は通常>8歳。ジャーマンシェパード、ウェルシュコーギー・ペンブローク、ボクサー、ロードシアンリッジバックに好発。SOD1遺伝子変異(常染色体劣性)。確定診断は剖検時の脊髄病理のみ;臨床診断は除外診断で行う。

主な症状

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臨床徴候

犬における変性性脊髄症(DM)の臨床徴候は罹患部位(前脳・脳幹・小脳・脊髄・末梢神経)により局在化所見を示す。前脳: 発作・行動変化・盲目・周徊・運動失調。脳幹: 脳神経障害・運動失調・意識障害。小脳: 企図振戦・低測定運動失調・広基歩行。脊髄: 四肢麻痺/対麻痺・排尿障害・反射異常(病変高位で異なる)。末梢神経: 筋萎縮・反射低下・遠位部優位の弛緩性麻痺。

原因

SOD1遺伝子変異(常染色体劣性)。ホモ接合体(A/A)が最高リスク;ヘテロ接合体(A/N)は中程度;正常(N/N)は非常に低リスク。好発犬種:ジャーマンシェパード(最多)、ウェルシュコーギー・ペンブローク、ボクサー、ロードシアンリッジバック、チェサピークベイレトリーバー。発症年齢:>8歳。疾患進行:発症(軽度歩行性不全麻痺)→6ヶ月(歩行不能)→12〜18ヶ月(完全対麻痺)→18〜36ヶ月(前肢・呼吸筋障害)。

病態生理

脊髄白質(特に胸腰部の上行・下行伝導路)の軸索変性と脱髄が緩徐に進行する。SOD1変異による酸化ストレスと異常蛋白の凝集が病態に関与すると考えられる。臨床的には左右非対称に始まる無痛性の後肢固有受容性失調・不全麻痺から、上位運動ニューロン徴候を伴う進行性の対麻痺、最終的に前肢・呼吸筋へ波及する。疼痛を欠く点が椎間板疾患との重要な鑑別点であり、除外診断と遺伝子検査で支持される。

診断

犬の変性性脊髄症(DM)の診断は除外診断と遺伝子検査に基づく。確定診断は死後の脊髄病理組織検査のみ(軸索変性+脱髄)。MRI: 脊髄圧迫病変の除外(IVDD、腫瘍、脊椎症)— DM自体はMRIで正常像。SOD1遺伝子検査: 変異ホモ接合体(A/A)がDMのリスク。ヘテロ接合体(A/N)はキャリア。陰性(N/N)ならDMをほぼ除外。神経学的検査: T3-L3領域の上位運動ニューロン障害パターン — 後肢の固有受容感覚低下(ナックリング)→不全麻痺→麻痺と進行。鑑別: IVDD(MRI/CTで圧迫所見)、脊髄腫瘍、変形性脊椎症。CSF: 通常正常。好発: GSD(最好発)、ペンブロークウェルシュコーギー、ボクサー、バーニーズ。8歳以上。進行性・非疼痛性が特徴。

治療

疾患修飾療法なし。QOLと歩行期間の最大化が管理の目標。理学療法(最も重要):集中的水中リハビリ(水中トレッドミル1日2回各15〜20分)、水泳、補助立位運動、カバレッティレール、固有位置感覚訓練—進行を有意に遅らせ歩行期間を延長することが証明されている(集中リハビリあり:平均6ヶ月 vs なし:3ヶ月)。モビリティ補助:車椅子カート(歩行不能時)—運動継続と床ずれ予防のために歩行不能になり次第装着。看護ケア(歩行不能期):導尿または用手的膀胱排尿(1日2〜3回)、排便管理、2〜4時間毎の体位変換、クッション性の高い寝床で床ずれ予防、皮膚衛生。栄養補助:EPA/DHA 40〜100 mg/kg/日、ビタミンE 400〜800 IU/日、ビタミンBコンプレックス。N-アセチルシステイン(NAC)70 mg/kg SID:抗酸化、SOD1への理論的効果。安楽死カウンセリング:呼吸困難が明らかになった時点またはQOLが許容できなくなった時点で開始—通常発症から1〜3年。

予防

犬における変性性脊髄症(DM)の予防は原因病態によって異なる。感染性脳炎: 適切なワクチネーション(特に狂犬病・ジステンパー・FIP予防)と媒介動物制御。特発性てんかん: 遺伝性素因品種の繁殖管理。認知機能不全症候群: 知的刺激の提供、適度な運動、抗酸化サプリメント、SAMe等の補完療法。外傷性脳脊髄損傷: 交通事故・落下事故予防、適切な飼育環境。中毒予防: 環境管理。

予後

進行性・致死的—根治なし。診断から安楽死までの生存期間中央値:リハビリへのオーナーのコミットメントにより6ヶ月〜3年。集中的理学療法は歩行期間を2〜3倍延長可能。死亡/安楽死は呼吸不全・反復性誤嚥性肺炎またはQOLに基づくオーナーの判断による。繁殖:繁殖前のSOD1検査を強く推奨;A/A同士の交配を避ける。

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