気管低形成
概要
短頭種に見られる気管の先天的な発育不全です。
主な症状
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臨床徴候
犬における気管低形成の臨床徴候は気道閉塞・換気障害の部位により異なる。上気道: いびき・吸気性ストライダー・運動不耐性・吸気性チアノーゼ(短頭種気道症候群)。気管: 短く乾性の発作的咳(gander-honk)・ストライダー(気管虚脱)。下気道: 慢性咳・呼気性呼吸困難・喘鳴・換気不全(喘息・COPD様病態)。突発的悪化はストレス・運動・気温変化で誘発される。
原因
犬における気管低形成は非感染性気道疾患を含み、原因は多岐にわたる。アレルギー性(猫喘息・好酸球性気管支炎)、解剖学的異常(短頭種気道症候群BOAS・気管虚脱・喉頭麻痺)、腫瘍性、栄養性(肥満による拘束性換気障害)、慢性炎症性(COPD様病態)、誤嚥性が含まれる。環境因子としてタバコの煙、家庭用化学物質、香料、過剰な粉塵への曝露が重要なリスク。気道のリモデリングと不可逆的構造変化を防ぐため早期介入が望ましい。
病態生理
気管低形成は気管軟骨輪の先天的発育不全により気管径が正常の20-50%に縮小する疾患で、ブルドッグ(97%に存在との報告)・ボストンテリア・パグ等の短頭種に好発。胸部X線でTD/TI比(気管径/胸郭入口径)<0.16で診断。軽度は無症状または運動制限で管理可能だが、中等度以上では吸気性喘鳴・運動不耐性・二次感染性気管気管支炎を反復する。根治療法はなく、体重管理・ハーネス使用・感染管理が治療の柱。
診断
気管低形成の診断は胸部X線側面像での気管径/胸腔入口径(TI)比の測定が標準。ブルドッグ: TI比<0.127、非短頭種: TI比<0.160で診断。透視検査で気管の動的虚脱の有無を同時評価。CT検査で気管全長にわたる狭窄程度の定量評価が可能。気管支鏡で気管内径の直接計測と粘膜状態の観察。血液ガスで低酸素血症・高炭酸ガス血症の評価。好発犬種:イングリッシュ・ブルドッグ(55%)、ボストン・テリア、パグ。心奇形(VSD、PS)の合併が報告されており、心エコーも推奨。鑑別:気管虚脱、気管狭窄、気管内腫瘤。
治療
気管低形成:先天性で根治不可。体重管理(肥満は気道負荷増大)。興奮回避。首輪→ハーネスに変更。テオフィリン 10 mg/kg PO q12h(気管支拡張)。呼吸器感染時→抗菌薬(アモキシシリン/クラブラン酸 12.5-25 mg/kg PO q12h)。好発:イングリッシュブルドッグ(TI/TO比<0.2で診断)。ボストンテリア。短頭種気道症候群との併発が多い→外鼻孔拡大/軟口蓋切除も検討。(Coyne & Fingland, JAAHA 1992)
予防
犬における気管低形成の予防は環境因子の管理が中心。タバコの煙・室内塵・化学香料・粉塵への曝露回避。短頭種気道症候群: 適正体重維持、暑熱環境回避、必要に応じた外科的気道形成術。気管虚脱: 適正体重維持、ハーネス使用(首輪回避)、誘発因子(興奮・暑熱・脱水)の管理。喘息(猫): アレルゲン特定と回避、室内環境改善。
予後
犬における気管低形成の予後は気道・肺病変の部位と重症度、基礎疾患により異なる。早期診断と病態に応じた適切な治療・モニタリングにより多くの症例で良好な経過が期待できるが、進行例・合併症を伴う例では予後が悪化しうる。
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