植物芒(ノギ)迷入・移動
概要
逆向きの刺(トゲ)を持つ植物の芒(ノギ;フォックステイル、Hordeum属などのイネ科種子)が皮膚を穿通したり体の開口部から入り、前方にしか進めない構造のため組織内を移動する病態。乾燥する夏〜秋に多い。好発部位は趾間(排膿性瘻孔を伴う腫脹)、外耳道(突然の激しい頭振り)、鼻(発作性のくしゃみ・時に鼻出血)、眼(瞬き・第三眼瞼下の分泌物)で、まれに胸腔・腹腔へ深部移動し膿胸や椎間板脊椎炎を来す。
主な症状
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臨床徴候
本症で報告される主な臨床徴候には頭を振る・跛行(左前肢)・鼻水・くしゃみ・目を細める・腫れ・浮腫などがある。所見の種類と程度は症例や病期により異なる。
原因
乾燥期の野原や庭の枯れたイネ科・芒の穂への曝露;長毛や猟犬・屋外飼育の犬でリスクが高い。
病態生理
芒の一方向性の刺と硬い構造により筋膜面に沿って潜り込み、細菌や植物片を持ち込んで排膿性瘻孔を伴う異物性膿瘍を形成する。芒はX線透過性のため単純X線ではしばしば描出されず、深部移動により体腔や脊椎に達することがある。
診断
診断はCareful physical examination of feet, ears, eyes and nose・Otoscopy / rhinoscopy・Ultrasound or CT for suspected deep migrationなどの検査所見を、臨床徴候および病歴と併せて総合的に評価して行う。
治療
芒を速やかに完全に摘出することが根治治療である。(1)趾間・皮膚:瘻管を探索して芒を摘出(通常は鎮静/全身麻酔下)、洗浄し抗菌薬を投与;不完全摘出は膿瘍の再発を招く。(2)耳:耳鏡下にワニ口鉗子で摘出(通常鎮静が必要)。(3)鼻:鼻鏡検査で摘出。(4)眼:局所麻酔下に第三眼瞼の下・裏を観察して摘出。(5)深部・体腔移動:高度画像診断(超音波/CT)と外科的探索。鎮痛と部位に応じた抗菌薬を行い、追加の芒がないか探索して除去する。
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予防
芒の季節にはフォックステイルの多い場所を避ける、被毛(特に足先と耳)を短く整える、散歩のたびに被毛・肢・耳・眼・鼻を確認して種子を速やかに除去する。
予後
早期に芒を発見して完全に摘出できれば良好。深部移動(膿胸・椎間板脊椎炎)は予後注意で、局在の同定が難しいことがある。
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