コクシジオイデス症(渓谷熱)
概要
乾燥地域に固有の真菌感染症で、呼吸器疾患と播種性疾患を引き起こします。
主な症状
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臨床徴候
犬におけるコクシジオイデス症(渓谷熱)の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。 皮膚病変(円形脱毛・落屑・痂皮)、慢性鼻汁、または深在性真菌症では咳・体重減少・神経症状が見られる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
犬のコクシジオイデス症(渓谷熱)は二形性真菌 Coccidioides immitis/posadasii の分節分生子吸入による。乾燥した砂漠地帯(米国南西部等)の土壌が感染源。
病態生理
肺で球状体(spherule)を形成して肉芽腫性肺炎・肺門リンパ節腫大を起こし、播種型では骨・関節・皮膚・中枢神経に波及して難治性の慢性経過をとる。
診断
骨溶解性病変(長骨・椎体)、慢性咳嗽、発熱、リンパ節腫大、ブドウ膜炎で疑診。FNA/生検の細胞学: 内生胞子を含む球状体(spherule、20-200μm)が病理学的に確定的。血清学: AGID(寒天ゲル内拡散)でTP抗体・CF抗体。IgM(急性期)→IgG(慢性期)。CF抗体価は疾患活動性と相関し治療モニタリングに有用。骨X線でびまん性骨膜反応・溶解性病変。米国南西部の流行地域。日本では輸入症例のみ。
治療
【犬におけるコクシジオイデス症(渓谷熱)】 コクシジオイデス症(渓谷熱)は犬における正確な臨床評価(病歴、身体検査、CBC・生化学、画像)から治療方針を決定。 基礎疾患の特定→特異的治療+支持療法の組み合わせが原則。 経過モニタリング: 主訴の改善、検査値の変化、QOLを2-4週毎に再評価。 複雑症例は犬専門医(ACZMまたはAVMAエキゾチック分科会等)に紹介を検討。 具体的な薬剤目安: Fluconazole 5-10 mg/kg PO、Itraconazole 5 mg/kg PO、Ketoconazole 5-10 mg/kg PO、complex 1 mg/kg IV。 支持療法: 輸液(晶質液 60-80 mL/kg/日 IV、ショック時 90 mL/kg初期ボーラス)、酸素化、栄養管理、疼痛管理。メサドン 0.1-0.5 mg/kg IM/IV q4-6h またはブプレノルフィン 0.01-0.02 mg/kg IM q6-8h。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によっては犬の専門医紹介を考慮する。
予防
犬におけるコクシジオイデス症(渓谷熱)の予防は感染源との接触回避と環境管理が中心。皮膚糸状菌症: 感染動物・汚染環境(グルーミング用品・カーペット・寝具)との接触回避、新規導入動物のWood lamp検査と培養スクリーニング。深在性真菌症: 流行地での過剰な土壌粉塵曝露回避(猟犬・農用動物)、地理的リスク評価。カンジダ/マラセチアの日和見感染予防には基礎疾患(内分泌異常・免疫抑制)の適切な管理と長期抗菌薬使用の慎重な評価が重要。
予後
犬におけるコクシジオイデス症(渓谷熱)の予後は病原体の毒力・宿主免疫状態・治療開始時期・基礎疾患の有無により大きく異なる。早期診断と適切な抗病原体療法・支持療法により多くの感染症は良好な予後となる。宿主の免疫抑制・若齢・高齢・多臓器不全併発例は予後不良となりうる。再発・慢性化・薬剤耐性発現も予後に影響する重要因子である。
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