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犬 (Dog) 感染症 中等度

Q熱(コクシエラ症)

Q Fever (Coxiellosis) / Q熱(コクシエラ症)

概要

コクシエラ・バーネッティによる人獣共通感染症で、犬では不顕性が多いが発熱や生殖障害を引き起こすことがあります。

主な症状

食欲不振 発熱 無気力 体重減少

原因

病原体(細菌・ウイルス・真菌・原虫)の感染が直接的な原因であり、宿主の免疫力低下、過密飼育、不衛生な環境、慢性的ストレス、栄養不良、併発疾患が感染リスクを著しく増大させる。病原体の毒力と宿主の免疫応答のバランスが発症と重症度を決定する。若齢・老齢個体や免疫抑制状態では感染が重篤化しやすい傾向にある。

病態生理

病原体が宿主の防御機構を突破して組織に定着すると感染が成立する。病原体の毒素産生、組織侵入、細胞内寄生により直接的な組織障害が生じる。同時に宿主の免疫応答(炎症反���・補体活性化・サイトカインカスケード)が活性化されるが、過剰な免疫応答自体が組織損傷の原因となる場合がある。全身性炎症反応症候群(SIRS)から敗血症性ショック・多臓器不全への進行が最も危険な病態である。

治療

Q熱(Coxiella burnetii)。偏性細胞内寄生グラム陰性菌。人獣共通感染症(4類感染症)。疫学: 反芻動物(牛・羊・ヤギ)が主要保有宿主。犬は胎盤・出産時に排菌曝露。 日本: 届出感染症。犬の血清陽性率は報告により3-15%。臨床像(犬 — 多くは不顕性感染): 急性: 発熱、嗜眠、食欲不振。 繁殖障害: 流産(妊娠後期)、死産、虚弱子犬。 稀: 肝炎、心内膜炎(慢性型 — ヒトでは重要だが犬では稀)。診断: 血清学: ELISA or IFA(Phase I/II抗体 — Phase II IgG急性、Phase I IgG慢性)。 PCR(血液、胎盤、腟分泌物)— 確定診断。 CBC/生化学: 非特異的(軽度肝酵素上昇)。治療: ドキシサイクリン10 mg/kg PO q24h × 最低3週間(第一選択 — テトラサイクリン系)。 — ISCAID推奨。症状消失後1-2週まで継続。 代替: エンロフロキサシン5 mg/kg PO q24h × 3週(ドキシ不耐時)。 慢性型(心内膜炎 — 稀): ドキシサイクリン + ヒドロキシクロロキン — 長期(ヒト治療準拠)。 流産後の管理: 胎盤・分泌物の安全廃棄(飛沫感染リスク)。人獣共通感染症対策(重要): 犬の出産介助時のPPE(マスク、手袋 — 胎盤が最大の感染源)。 妊婦・免疫不全者は感染犬からの隔離。 環境消毒: 次亜塩素酸(0.05%)、70%エタノール。 — C. burnetiiの芽胞様形態は環境中で数ヶ月生存可能。予後: 犬は大半が自然治癒 or ドキシサイクリンで良好。繁殖障害の再発は稀。

予防

適切なワクチネーションプログラムの実施、衛生的な飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間の設定が基本的予防策である。過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力の維持、ストレス軽減も重要である。感染動物との接触を避け、汚染された器具や環境の消毒を徹底する。定期的な健康診断による早期発見と早期治療が蔓延防止に不可欠である。

予後

予後は病原体の種類、感染の重症度、宿主の免疫状態、治療開始の時期に大きく依存する。早期に適切な抗微生物療法が開始されれば多くの感染症で良好な転帰が期待できる。免疫抑制状態の動物や重度の敗血症を呈する症例では予後不良となりうる。慢性感染では完治が困難な場合があり、長期的な管理と再発防止策が必要となる。

関連する薬品

💊 エンロフロキサシン 💊 ドキシサイクリン 💊 テトラサイクリン

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