アナプラズマ症
概要
マダニ媒介の細菌感染症で、関節痛・発熱・血小板異常を引き起こします。
主な症状
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臨床徴候
犬におけるアナプラズマ症の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
Anaplasma phagocytophilum(Ixodes属マダニ媒介、北半球に分布)、A. platys(R. sanguineus媒介)。日本ではA. phagocytophilumの報告あり。ライム病・バベシア症との共感染に注意。4DxSNAP検査でスクリーニング可能。
病態生理
A. phagocytophilum:マダニ(Ixodes属)刺咬→好中球に感染→morula形成→免疫介在性血小板減少・多発性関節炎→発熱・跛行・血小板減少。A. platys:血小板に感染→周期的血小板減少症。多くは急性期のみで自然治癒するが、免疫抑制犬では重症化。Lyme病との重複感染(同じIxodes属マダニ媒介)がある。
診断
犬のアナプラズマ症の診断は血清学的検査とPCRに基づく。SNAP 4Dx: A. phagocytophilum/A. platys抗体スクリーニング。全血PCR: 急性期の確定診断。A. phagocytophilumとA. platysの種レベル鑑別が可能。CBC: A. phagocytophilum — 血小板減少、好中球減少、リンパ球減少。A. platys — 周期性血小板減少(10-14日周期)。血液塗抹: 好中球内のmorula(A. phagocytophilum、検出率60%急性期)。血液生化学: ALP上昇(A. phagocytophilum)。関節液: 好中球性多発性関節炎パターン(跛行例)。ライム病との共感染に注意(同じマダニ媒介 — Ixodes属)。SNAP 4Dxでの同時スクリーニングが有用。
治療
ドキシサイクリン(5 mg/kg PO q12h 28日間)が第一選択。臨床症状は通常24-48時間以内に改善。重症例(血小板減少、出血傾向):入院管理+輸液+必要に応じ輸血。NSAIDs:関節痛にメロキシカム(0.1 mg/kg PO q24h)短期間。ミノサイクリン(5 mg/kg PO q12h)はドキシサイクリンの代替。予防:ダニ予防薬(イソキサゾリン系:フルララネル、アフォキソラネル等)の通年投与。環境管理(ダニ生息地の回避、散歩後のダニチェック)。A. phagocytophilumとA. platysで臨床像が異なる(後者は主に血小板減少)。参考文献: Carrade DD et al. J Vet Intern Med 2009; Sainz A et al. Parasit Vectors 2015.
予防
マダニ駆除薬の通年投与、マダニ媒介感染症流行地域での注意強化。ドキシサイクリン14日間で治療反応良好。
予後
ドキシサイクリン(5 mg/kg PO q12h×14-28日間)で臨床症状は24-48時間で劇的に改善し予後良好。治療反応の速さが診断的にも有用(therapeutic trial)。慢性持続感染の可能性があるが、臨床的意義は不明。ライム病との重複感染時は両疾患をカバーするドキシサイクリンが第一選択。血小板減少が重度(<30,000/μL)の場合は出血リスクがあり支持療法を併用。ダニ予防薬の通年使用とマダニの早期除去が予防の柱 (Carrade DD et al. JVIM 2009;23:1129-1141)。
関連する薬品
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