← トップへ戻る
犬 (Dog) 感染症 軽度

犬パラインフルエンザウイルス

Canine Parainfluenza Virus / 犬パラインフルエンザウイルス

概要

ケンネルコフ複合体の一因となる一般的な呼吸器ウイルスで、軽度の上部呼吸器症状を引き起こします。

主な症状

※ 症状をクリックすると、その症状を示す犬の他の疾患を確認できます

臨床徴候

犬パラインフルエンザウイルスの臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。

原因

犬インフルエンザウイルス(A型, H3N8/H3N2)の感染による。呼吸器分泌物・飛沫・接触で伝播する。

病態生理

ウイルスは気道上皮で複製して線毛障害・気道炎を起こし、二次性細菌感染で肺炎に進展しうる。

診断

鼻腔/咽頭スワブからのRT-PCRでCPIVを検出。ペア血清でHI抗体価の4倍以上上昇。ウイルス分離培養(Vero/MDCK細胞)。鼻汁の蛍光抗体法(DFA)。胸部X線で気管支間質パターン(二次性細菌感染時はびまん性肺野浸潤)を確認。ケンネルカフ複合体の一成分。Bordetella bronchisepticaとの混合感染が多い。集団飼育歴の確認。

治療

犬における犬パラインフルエンザウイルスの治療: 特異的抗ウイルス薬は限定的—支持療法と二次感染予防が中心。① 輸液療法: 等張晶質液 60-80 mL/kg/日 IV(脱水補正+維持)。重症は90 mL/kg初期ボーラス。② 制吐剤(消化器症状時): マロピタント 1 mg/kg IV/SC q24h、オンダンセトロン 0.5 mg/kg IV q8h。③ 二次性細菌感染予防: アモキシシリン/クラブラン酸 12.5-25 mg/kg PO q12h、または ドキシサイクリン 5-10 mg/kg PO q12h(呼吸器症状時)。④ 食欲増進: カプロモレリン 3 mg/kg PO q24h、ミルタザピン 0.6 mg/kg PO q24h。⑤ 隔離(感染力が消失するまで)、ケージ消毒(次亜塩素酸1:32、エンベロープウイルスはエタノール70%でも可)。⑥ ワクチン未接種個体の同居動物にはコアワクチン接種を検討。AAHA/AAFP Vaccination Guidelines参照。

予防

犬パラインフルエンザウイルスの予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。

予後

犬パラインフルエンザウイルスの予後は病原体の毒力・宿主免疫状態・治療開始時期・基礎疾患の有無により大きく異なる。早期診断と適切な抗病原体療法・支持療法により多くの感染症は良好な予後となる。宿主の免疫抑制・若齢・高齢・多臓器不全併発例は予後不良となりうる。再発・慢性化・薬剤耐性発現も予後に影響する重要因子である。

関連する薬品

💊 アモキシシリン 💊 アモキシシリン・クラブラン酸 💊 ドキシサイクリン 💊 ブトルファノール 💊 オンダンセトロン 💊 ミルタザピン 💊 ヒドロコドン

※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます

感染症の他の疾患(犬)

犬の全疾患を見る →

VetDictで犬の鑑別診断を行う

症状チェッカーを使う

関連する疾患

犬インフルエンザ (共通5症状) 犬ジステンパー (共通4症状) ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎) (共通4症状) 肺炎 (共通4症状) 誤嚥性肺炎 (共通4症状) 肺葉硬化 (共通4症状) 犬呼吸器コロナウイルス (共通4症状) 気管支拡張症 (共通4症状)
📋 犬の疾患一覧を見る →
※ 本ページの情報は獣医学的参考資料であり、診断・治療の代替ではありません。実際の診療は必ず獣医師にご相談ください。
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。