犬インフルエンザ
概要
高伝染性のウイルス性呼吸器感染症です。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示す犬の他の疾患を確認できます
臨床徴候
犬インフルエンザの臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
犬インフルエンザウイルス(A型, H3N8/H3N2)の感染による。呼吸器分泌物・飛沫・接触で伝播する。
病態生理
ウイルスは気道上皮で複製して線毛障害・気道炎を起こし、二次性細菌感染で肺炎に進展しうる。
診断
犬インフルエンザ(CIV H3N8/H3N2)の診断は急性発症の咳・鼻汁・発熱の臨床徴候と流行歴から疑う。鼻腔・咽頭スワブからのRT-PCR検査が確定診断(発症後72時間以内が最適)。急性期・回復期ペア血清でHI抗体価4倍以上上昇を確認。胸部X線で間質〜肺胞パターン。CBC: リンパ球減少→好中球増加の経時変化。鑑別:犬伝染性気管気管支炎、CRCoV、細菌性肺炎、ジステンパー。致死率は低い(1-5%)が、集団飼育で急速に伝播。隔離と支持療法が基本。二次感染予防にアモキシシリン・クラブラン酸。
治療
犬における犬インフルエンザの治療: 特異的抗ウイルス薬は限定的—支持療法と二次感染予防が中心。① 輸液療法: 等張晶質液 60-80 mL/kg/日 IV(脱水補正+維持)。重症は90 mL/kg初期ボーラス。② 制吐剤(消化器症状時): マロピタント 1 mg/kg IV/SC q24h、オンダンセトロン 0.5 mg/kg IV q8h。③ 二次性細菌感染予防: アモキシシリン/クラブラン酸 12.5-25 mg/kg PO q12h、または ドキシサイクリン 5-10 mg/kg PO q12h(呼吸器症状時)。④ 食欲増進: カプロモレリン 3 mg/kg PO q24h、ミルタザピン 0.6 mg/kg PO q24h。⑤ 隔離(感染力が消失するまで)、ケージ消毒(次亜塩素酸1:32、エンベロープウイルスはエタノール70%でも可)。⑥ ワクチン未接種個体の同居動物にはコアワクチン接種を検討。AAHA/AAFP Vaccination Guidelines参照。
PRPR・自社製品(補助療法オプション)
予防
犬インフルエンザの予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。
予後
犬インフルエンザの予後は病原体の毒力・宿主免疫状態・治療開始時期・基礎疾患の有無により大きく異なる。早期診断と適切な抗病原体療法・支持療法により多くの感染症は良好な予後となる。宿主の免疫抑制・若齢・高齢・多臓器不全併発例は予後不良となりうる。再発・慢性化・薬剤耐性発現も予後に影響する重要因子である。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
感染症の他の疾患(犬)
VetDictで犬の鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。