犬呼吸器コロナウイルス
概要
犬の感染性呼吸器疾患複合体の一因となる呼吸器病原体です。
主な症状
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原因
犬腸コロナウイルス(CCoV)の感染による。糞口感染で伝播し、パルボウイルス等との混合感染で重症化する。
病態生理
犬呼吸器コロナウイルス(CRCoV)はベータコロナウイルスで、犬伝染性気管気管支炎(CIRDC/ケンネルコフ)の原因ウイルスの一つ。CRCoVは気道上皮に感染→繊毛破壊→粘液繊毛クリアランス障害→二次細菌感染の素因。単独感染では軽度の咳嗽・鼻汁に留まるが、Bordetella、CPIV、CDVとの混合感染で重症化。シェルター/ペットホテルでの集団発生が問題 (Buonavoglia C & Martella V. Vet Microbiol 2007;117:234-247)。
治療
犬における犬呼吸器コロナウイルスの治療: 特異的抗ウイルス薬は限定的—支持療法と二次感染予防が中心。① 輸液療法: 等張晶質液 60-80 mL/kg/日 IV(脱水補正+維持)。重症は90 mL/kg初期ボーラス。② 制吐剤(消化器症状時): マロピタント 1 mg/kg IV/SC q24h、オンダンセトロン 0.5 mg/kg IV q8h。③ 二次性細菌感染予防: アモキシシリン/クラブラン酸 12.5-25 mg/kg PO q12h、または ドキシサイクリン 5-10 mg/kg PO q12h(呼吸器症状時)。④ 食欲増進: カプロモレリン 3 mg/kg PO q24h、ミルタザピン 0.6 mg/kg PO q24h。⑤ 隔離(感染力が消失するまで)、ケージ消毒(次亜塩素酸1:32、エンベロープウイルスはエタノール70%でも可)。⑥ ワクチン未接種個体の同居動物にはコアワクチン接種を検討。AAHA/AAFP Vaccination Guidelines参照。
予防
犬呼吸器コロナウイルスの予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。
予後
単独感染は自己限定的で7-10日で回復し予後良好。混合感染で肺炎に進展した場合は予後注意。犬腸コロナウイルス(CECoV)とは異なるウイルス。ワクチンは開発中だがまだ利用不可 (Buonavoglia C & Martella V. 2007)。
関連する薬品
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