毛球症
概要
胃内に摂取した毛が蓄積する状態。ウサギでは通常、消化管うっ滞に続発して起こります。
主な症状
原因
病原体(細菌・ウイルス・真菌・原虫)の感染が直接的な原因であり、宿主の免疫力低下、過密飼育、不衛生な環境、慢性的ストレス、栄養不良、併発疾患が感染リスクを著しく増大させる。病原体の毒力と宿主の免疫応答のバランスが発症と重症度を決定する。若齢・老齢個体や免疫抑制状態では感染が重篤化しやすい傾向にある。
病態生理
病原体が宿主の防御機構を突破して組織に定着すると感染が成立する。病原体の毒素産生、組織侵入、細胞内寄生により直接的な組織障害が生じる。同時に宿主の免疫応答(炎症反���・補体活性化・サイトカインカスケード)が活性化されるが、過剰な免疫応答自体が組織損傷の原因となる場合がある。全身性炎症反応症候群(SIRS)から敗血症性ショック・多臓器不全への進行が最も危険な病態である。
治療
ウサギにおける毛球症の治療: 毛球症はほぼ常にGIうっ滞に続発—毛球自体ではなく基礎にある消化管低運動を治療する。1. 積極的輸液: SC LRS/生食100-150mL/kg/日(胃内容物の再水和)。2. 消化管運動促進: メトクロプラミド0.5-1.0mg/kg SC/PO q8hおよび/またはシサプリド0.5-1.0mg/kg PO q8-12h(完全閉塞を除外後のみ)。シメチコン65-130mg PO q8h(ガス対策)。3. 鎮痛: メロキシカム0.3-0.6mg/kg PO/SC q24h + ブプレノルフィン0.01-0.05mg/kg SC q6-8h(重度疼痛時)。4. 強制給餌(クリティカルケア)q4-6h。チモシー干し草自由摂取(繊維がGI運動の最大の駆動力)。5. 腹部マッサージ(穏やかに)。6. パイナップルジュース/パパイヤ酵素は歴史的に推奨されてきたがエビデンスなし—輸液と繊維がはるかに有効。7. 手術(胃切開)は完全閉塞が確認された場合のみ—ウサギの胃壁は非常に薄く縫合不全リスクが高い。8. 絶対に絶食させない(12時間以内に肝リピドーシスのリスク)。ウサギは嘔吐不能(催吐反射がない)。参考: Harcourt-Brown (2002); Varga (2014)。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • カミデミルク (消化吸収しやすい流動性栄養): 食欲不振・クリティカルケア・経管栄養 ※カミデミルク: 完全腸閉塞は禁忌; 重症膵炎は低脂肪配合
予防
適切なワクチネーションプログラムの実施、衛生的な飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間の設定が基本的予防策である。過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力の維持、ストレス軽減も重要である。感染動物との接触を避け、汚染された器具や環境の消毒を徹底する。定期的な健康診断による早期発見と早期治療が蔓延防止に不可欠である。
予後
疾患の重症度、治療開始の早さ、治療反応により異なる。早期の適切な治療介入で一般に予後改善。
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