消化管うっ滞
概要
ストレス、痛み、脱水、繊維不足などが原因で消化管の蠕動が低下または停止する、命に関わる疾患です。
主な症状
原因
ウサギにおける消化管うっ滞の原因: 食事性失調、感染性病原体、寄生虫、ストレス、異物摂取、毒素、腸内細菌叢の破綻による消化器疾患。急な食事変更と不適切な食物が一般的な誘因。
病態生理
消化管うっ滞はウサギにおける消化器疾患である。粘膜の完全性、運動性、分泌機能、またはマイクロバイオームバランスの障害を伴う。炎症により上皮バリアが損傷し、吸収不良、体液喪失、細菌トランスロケーションの可能性がある。運動障害(低運動性/うっ滞または亢進)により通過時間と消化効率が変化する。後腸発酵動物では盲腸/結腸フローラの破壊が致死的ディスバイオーシスと腸管毒素症を引き起こしうる。
治療
【内科的治療】 ■ 消化管運動促進薬 ・メトクロプラミド 0.5-1.0 mg/kg SC/PO q6-8h(第一選択) ・シサプリド 0.5 mg/kg PO q8-12h(重症例・メトクロプラミド無効時) ・ラニチジン 2-5 mg/kg PO q12h(消化管運動促進+制酸) ■ 疼痛管理 ・メロキシカム 0.3-0.5 mg/kg SC/PO q24h(第一選択) ・ブプレノルフィン 0.01-0.05 mg/kg SC/IV q6-8h(重度疼痛時) ・トラマドール 5-15 mg/kg PO q8-12h(代替鎮痛) ※ NSAIDsとオピオイドの併用可。脱水時はNSAIDs慎重投与。 ■ 輸液療法 ・皮下輸液: 乳酸リンゲル液 50-100 mL/kg/日(軽〜中等度脱水) ・静脈輸液: 維持量 60-100 mL/kg/日(重度脱水・食欲廃絶時) ・経口補液: 電解質溶液をシリンジで少量ずつ(軽度例) ■ 栄養サポート ・強制給餌: Critical Care (Oxbow) 等の草食動物用流動食 15-20 mL/kg q6-8h ・粗繊維: チモシーヘイの自由摂取を促す(最も重要な長期管理) ・ビタミンB群補給(長期食欲不振時) ■ 消化管ガス対策 ・シメチコン 40-125 mg/頭 PO q1h×3回(鼓腸時の対症療法) ■ モニタリング ・糞便量・形態の記録(12時間以上無排便は緊急性上昇) ・腹部触診: 胃内容物の硬さ・ガス貯留 ・体重の日次測定 ・血糖値(肝リピドーシス併発リスク) 【予防】 ・高繊維食(チモシーヘイ主体)の常時提供 ・適度な運動と環境エンリッチメント ・ストレス要因の最小化 ・定期的な体重測定と食欲チェック
予防
消化管うっ滞の予防には適切な飼育管理、種に合ったバランスの取れた栄養、定期的な健康診断、ストレスの最小化、清潔な生活環境の維持、初期臨床徴候への迅速な対応が含まれる。
予後
消化管うっ滞の予後は適切な管理により一般的にやや良好〜良好である。早期診断された症例の多くは治療に良好に反応する。慢性例や再発例では長期管理が必要だが、概ね許容できるQOLを維持できる。定期的なモニタリングにより合併症の早期発見・対処が可能となる。
VetDictでうさぎの鑑別診断を行う
症状チェッカーを使うVetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。