ウサギ出血病(RHDV/VHD)
概要
ウサギにおけるウイルス性の肝臓/胆道疾患。ウサギ出血病(RHD)は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
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臨床徴候
ウサギ出血病(RHDV/VHD)の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
ウサギにおけるウサギ出血病(RHDV/VHD)の原因: 高度に伝染性で通常致死的なカリシウイルス感染症。急性肝壊死と播種性血管内凝固を引き起こします。
病態生理
ウサギ出血病(RHD/VHD)はカリシウイルス科ラゴウイルス属のRHDV/RHDV2による致死率の極めて高い急性感染症。RHDV(古典型)は>8週齢の成ウサギに致死的、RHDV2は全年齢に致死的。経口・経鼻・経結膜感染→肝臓Kupffer細胞・肝細胞で増殖→大量肝細胞壊死→急性肝不全→DIC→多臓器出血→死亡。超急性型は臨床徴候なく突然死する。環境中で極めて安定(乾燥環境で3ヶ月以上生存)。RHDV2は2010年のフランス初報告以降世界的に拡散中 (Abrantes J et al. Vet Res 2012;43:12)。
診断
突然死・血性鼻汁・呼吸困難・けいれん・肝腫大からRHD/VHDを疑う。確定診断はRHDV RT-PCR(肝臓・脾臓)。剖検で劇症壊死性肝炎・DIC所見(肝斑状出血・脾腫・多臓器出血)を確認。生前検査としてELISA抗体検査(ワクチン接種歴との鑑別要)。CBC/生化学でAST・ALT著増・血小板減少・凝固異常を評価。ウサギは嘔吐反射がないため消化器症状なく突然死が主訴となることが多い。RHDV1/RHDV2の型別はシークエンス解析で確認する。
治療
ウサギ出血病の治療: 特異的治療法は存在しない。RHDV1の致死率は成体ウサギ(>8週)で70-90%。超急性型: 先行する臨床症状なしの突然死 — 最も一般的。急性型: 発熱(>40°C)、嗜眠、12-36時間後の食欲不振→死亡。しばしば死亡で発見。支持療法(亜急性型のみ、成功率低い): 積極的IV輸液(乳酸リンガー10-15 mL/kg/hrボーラス後維持)、肝保護(SAMe 20 mg/kg PO、ビタミンE、N-アセチルシステイン70 mg/kg IV緩徐)、DIC管理 — ビタミンK1 1-2.5 mg/kg SC/IM q12h、新鮮凍結血漿(利用可能な場合)。疼痛管理: ブプレノルフィン0.01-0.05 mg/kg SC q8h(肝代謝 — 肝不全時は慎重に)。酸素補給。クリティカルケア(Oxbow)強制給餌。肝酵素、ビリルビン、凝固能をモニタリング。予後: 超急性/急性RHDV1ではほぼ絶望的 — 安楽死が通常最も人道的。軽度黄疸の亜急性例は集中治療で約10%生存。幼若ウサギ(<8週)はRHDV1に比較的抵抗性。隔離/バイオセキュリティ: 重大 — ウイルスは媒介物上で数ヶ月持続、22.5°Cで225日生存。1%水酸化ナトリウム、1-2%ホルマリン、10%漂白剤で消毒。獣医当局に届出(多くの国で届出義務)。ワクチン: 日本ではRHDV1ワクチン承認あり。経口ペニシリン系は二次感染にも禁忌。参考文献: Harcourt-Brown (2014); Abrantes et al. (2012).
予防
ウサギ出血病(RHDV/VHD)の予防にはワクチン接種(利用可能な場合)、新規・病気動物の隔離、厳格なバイオセキュリティ対策、適切な消毒プロトコル、既知のキャリアや汚染環境との接触回避が含まれる。
予後
予後きわめて不良。RHDV感染の致死率は80-100%、RHDV2は5-80%(株・年齢により変動)。超急性型は発症から12-36時間で死亡。特異的治療法は存在しない。亜急性型では支持療法(輸液、保温、強制給餌)で一部が回復する可能性がある。不活化ワクチン(RHDV1+RHDV2二価)が唯一有効な予防法。日本では2024年にRHDV2の報告があり、飼育ウサギへのワクチン接種の重要性が増している (OIE/WOAH Terrestrial Manual 2023)。
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