大麻中毒
概要
THC(デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール)中毒によるCNS抑制・運動失調・尿失禁。犬はCB1受容体密度が高くヒトより感受性が高い。THC単独では稀に致死的だが、濃縮製品(ワックス・オイル)や大麻エディブル(チョコレート/キシリトール含有)は生命危機になりうる。典型的三徴:重篤な沈鬱/昏迷+尿失禁+散瞳。発症:経口で30分〜3時間;煙吸入で5〜15分。
主な症状
原因
大麻の花穂/蕾/葉、エディブル製品(グミ・クッキー・ブラウニー・チョコレート・キャンディ—用量は非常に変動的)、濃縮製品(ワックス/シャッター/オイル—非常に高いTHC濃度50〜90%)、残留THC含有CBDオイル、大麻タバコの吸い殻(犬が頻繁に摂取)。喫煙家庭での受動的煙吸入。家族からの意図しないエディブル共有。大麻の合法化/一般化に伴い発生率増加。
病態生理
THC→CNS(海馬・基底核・小脳・脊髄)のCB1カンナビノイド受容体への作動→アデニリルシクラーゼ阻害→cAMP減少→ニューロン抑制→鎮静/昏迷・運動失調・散瞳・低体温・徐脈・低血圧。尿失禁:膀胱CB1受容体による尿道括約筋緊張喪失。犬はヒトより高いCB1受容体密度→極度の感受性。THCは高い脂溶性—CNSから脂肪組織へ再分布し効果を延長(再分布後の半減期4〜7時間)。チョコレート含有エディブル→テオブロミン毒性追加;キシリトール含有エディブル→低血糖毒性追加。
治療
大多数は12〜24時間以内に支持療法のみで回復。消化管除染(摂取後30〜60分以内、犬が意識明瞭かつ重度の鎮静なし):アポモルヒネ0.03 mg/kg IV(重篤な鎮静時は催吐禁忌—誤嚥リスク)→活性炭1〜3 g/kg PO。体温管理:低体温には保温(毛布・温かい環境);高体温には冷却。IV輸液(LRS 2〜3 mL/kg/h):心血管サポート・軽度利尿。心血管:症候性徐脈(HR <40 bpm+低血圧)にアトロピン0.02〜0.04 mg/kg IV。尿道カテーテル:尿閉または患者を清潔に保つため。制吐:マロピタント1 mg/kg SC(鎮静+嘔吐による誤嚥予防)。血糖:キシリトール複合摂取時は50%ブドウ糖0.5 mL/kg IV→ブドウ糖CRI。ベンゾジアゼピンは通常使用しない(CNS抑制を悪化させる可能性)。中等度〜重度の症例では12〜24時間入院。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • For Antioxidant (アスタキサンチン+SOD+VitE+システイン): 抗酸化・慢性疾患免疫サポート • Booster & Relax (アダプトゲン+Bビタミン複合体): ウイルス後回復・内分泌疾患エネルギー補給・高齢期慢性疲労
予防
全ての大麻製品(エディブル・濃縮物・ディスペンサリー製品含む)をペット防止施錠容器に保管。エディブルを絶対に手の届く場所に放置しない—犬は食物の匂いに引き寄せられる。CBD製品:犬に与える前にTHC含量(<0.3%)を確認。大麻を喫煙する部屋に犬を入れない。家族・ゲスト・訪問者への教育。
予後
THC単独摂取:支持療法で12〜24時間以内にほぼ全例が完全回復—優良。純粋なTHCによる死亡は稀。チョコレート(テオブロミン心毒性)またはキシリトール(低血糖・肝毒性)の複合摂取:慎重〜不良。濃縮THC製品(ワックス/オイル:THC 50〜90%):遷延した重度鎮静と誤嚥性肺炎リスクが高い。予後は:THC用量・製品タイプ・治療開始までの時間・複合毒素に依存する。
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