エチレングリコール中毒(不凍液)
概要
致死的な不凍液中毒。腎障害を引き起こす代謝産物が蓄積する前に摂取後8〜12時間以内に解毒剤(フォメピゾールまたはエタノール)を投与しなければならない。犬の致死量:4.4 mL/kg。3段階の臨床経過:I期(30分〜12h:酩酊・多尿);II期(12〜24h:心肺症状);III期(24〜72h:乏尿性腎不全—この段階では多くの場合致死的)。
主な症状
原因
自動車用不凍液(エチレングリコール)の摂取。甘味があるため犬が好んで飲む。ガレージの不凍液漏れ、水たまりの汚染水。冬季に多い。少量でも致死的。治療の窓は摂取後8〜12時間で閉じる。
病態生理
エチレングリコール摂取→肝臓のADHにより代謝→グリコアルデヒド→グリコール酸→シュウ酸。(1)グリコール酸蓄積による高アニオンギャップ代謝性アシドーシス;(2)シュウ酸カルシウム結晶の腎尿細管沈着→急性尿細管壊死→乏尿性腎不全。重要:エチレングリコール自体(代謝前)は比較的低毒性—解毒剤はADHによる代謝を阻止することが目的。
治療
緊急—8〜12時間以内に解毒剤投与。I〜II期(摂取後8〜12時間以内):(1)フォメピゾール(4-メチルピラゾール、4-MP)—犬の推奨解毒剤:20 mg/kg IV負荷、その後15 mg/kg IV(12h)、15 mg/kg(24h)、5 mg/kg(36h);エタノールより安全。(2)エタノール(フォメピゾール入手不能時):20%エタノール液5 mL/kg IV(15分で投与)、その後1.3 mL/kg/h CRI(48時間;CNS抑制・低血糖・低体温のモニタリング)。消化管除染(摂取後30〜60分以内のみ):催吐(アポモルヒネ0.03 mg/kg IV)+活性炭1〜3 g/kg PO(アルコールへの有効性は限定的)。IV輸液による利尿(0.9% NaClまたはLRS 3〜5 mL/kg/h)—腎血流と尿量を維持;pH<7.1の場合は炭酸水素ナトリウムで酸血症補正。III期(腎不全):透析(血液透析または腹膜透析)が利用可能であれば実施—EGと代謝産物を除去;集中的支持療法(輸液・制吐薬・消化器保護);透析なしでは予後不良。尿量を1〜2時間毎にモニタリング;乏尿/無尿犬には尿道カテーテル留置。チアミン100 mg/犬 IM BID(グリコール酸の代謝をシュウ酸経路から転換)。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • For Antioxidant (アスタキサンチン+SOD+VitE+システイン): 抗酸化・慢性疾患免疫サポート • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート • Booster & Relax (アダプトゲン+Bビタミン複合体): ウイルス後回復・内分泌疾患エネルギー補給・高齢期慢性疲労 ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意
予防
不凍液のペットからの完全隔離、漏れの即時清掃、プロピレングリコール系の安全な代替品の使用(より安全)、ガレージへのペットアクセス制限。甘味による犬の誘引についてオーナー教育。
予後
I〜II期(8〜12時間以内に治療):フォメピゾールで70〜90%の生存率。III期(腎不全確立後):透析なしでは不良(<20%の生存率);透析ありでは慎重(30〜60%)。治療開始までの時間が最も重要な予後因子。III期で乏尿/無尿の状態で来院した犬は透析なしでは予後非常に不良。シュウ酸沈着による確立したAKIからの腎回復は稀。
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