腎盂腎炎
概要
下部尿路から上行性に感染する腎臓の細菌感染症です。
主な症状
原因
E. coli(最多)、Staphylococcus、Proteus、Enterococcus。リスク因子:尿路結石、先天性尿管異所開口、免疫抑制、クッシング症候群、糖尿病。雌犬に多い。
病態生理
下部尿路感染→尿管を経由した上行性感染→腎盂・腎実質の細菌感染→化膿性炎症→腎実質の破壊。慢性化すると腎線維化→CKDへの進行。敗血症のリスク。片側性が多いが両側性もある。
治療
【犬の腎盂腎炎】■抗菌薬: 培養感受性検査に基づく選択が必須。経験的第一選択: エンロフロキサシン 5-20 mg/kg 経口/静注 24時間ごと(優れた腎実質移行性)。セフポドキシム 5-10 mg/kg 経口 24時間ごと。アモキシシリン/クラブラン酸 12.5-25 mg/kg 経口 12時間ごと(グラム陽性菌)。TMP-スルファ 15-30 mg/kg 経口 12時間ごと。多剤耐性: ホスホマイシン 40 mg/kg 経口 8時間ごと。メロペネム 8.5 mg/kg 皮下 12時間ごと/静注 8時間ごと(専門医に相談)。■治療期間: 10-14日(ISCAID 2019改訂、旧推奨は4-6週)。血清ブレイクポイント使用(尿中ブレイクポイントではない)。■支持療法: 補液(乳酸リンゲル)で腎灌流維持。制吐薬(マロピタント 1 mg/kg 皮下/静注 24時間ごと)。鎮痛: ブプレノルフィン 0.01-0.02 mg/kg 静注/筋注 8-12時間ごと。■経過観察: 抗菌薬中止1-2週後に再検査(身体検査、クレアチニン、尿検査、培養)。■予後: 早期治療で良好。両側性・膿瘍形成では不良。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意
予防
下部尿路感染の適切な治療、尿路結石の管理、免疫抑制状態の早期対応、定期的な尿検査。
予後
予後は病原体の種類、感染の重症度、宿主の免疫状態、治療開始の時期に大きく依存する。早期に適切な抗微生物療法が開始されれば多くの感染症で良好な転帰が期待できる。免疫抑制状態の動物や重度の敗血症を呈する症例では予後不良となりうる。慢性感染では完治が困難な場合があり、長期的な管理と再発防止策が必要となる。
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