慢性腎臓病(CKD)
概要
3ヶ月以上持続する不可逆的な腎構造または機能障害。IRIS(国際腎臓研究会)2023ガイドラインの血清クレアチニンおよびSDMAによるステージング。CKDは進行性——管理目標は進行を遅らせQOLを維持すること。高齢犬に多い;コッカースパニエル・シーズー・ブルテリアに遺伝的素因。主要合併症:尿毒症・高血圧(CKD 3〜4期の65〜93%)・腎性二次性副甲状腺機能亢進症(RSHP)・慢性疾患性貧血・代謝性アシドーシス・低カリウム血症。
主な症状
原因
加齢性変化(最多)、慢性糸球体腎炎、腎アミロイドーシス、先天性腎異形成、慢性腎盂腎炎、腎結石、NSAID等の腎毒性薬物、レプトスピラ症後遺症。コッカースパニエル、シーズー、ブルテリアに遺伝的素因。
病態生理
あらゆる原因からの進行性ネフロン消失によるCKD。残存ネフロンが代償性肥大・過剰ろ過(単一ネフロンGFR増加)→糸球体高血圧→タンパク尿→さらなるネフロン傷害(悪循環)。主要病態:(1)リン貯留:GFR低下→腎でのリン排泄障害→高リン血症→FGF-23上昇→カルシトリオール産生抑制→二次性副甲状腺機能亢進症(PTH上昇→骨からCa動員→腎性骨異栄養症);(2)代謝性アシドーシス:尿細管HCO3⁻再生・アンモニウム産生障害→重炭酸塩喪失→タンパク異化亢進;(3)尿毒症性毒素蓄積(BUN・クレアチニン・インドキシル硫酸・SDMA)→尿毒症性胃腸炎・脳症・血小板機能障害;(4)高血圧:RAAS活性化→全身高血圧→糸球体傷害悪化;(5)貧血:傍尿細管細胞からのEPO産生低下→正球性正色素性非再生性貧血;(6)脱水:尿細管間質傷害→尿濃縮能低下→多飲多尿。
治療
根治療法なし。IRIS 2023ステージングに基づく進行抑制。[全ステージ] (1)腎臓食(Stage 2以降必須):低リン・高品質タンパク質制限・低ナトリウム(Hills k/d等)。(2)適切な水分補給:湿潤食・ウォーターファウンテン・在宅皮下輸液(100〜150 mL/回)。(3)リン管理:食事制限後もリン高値なら腸管リン吸着薬(水酸化アルミニウム、炭酸セベラマー、炭酸ランタン)を食事と同時投与。リン目標:Stage 2: <4.5 mg/dL、Stage 3: <5.0、Stage 4: <6.0。(4)高血圧:目標収縮期BP<140 mmHg;アムロジピン0.05〜0.2 mg/kg 24時間毎(第一選択);ベナゼプリル0.5 mg/kg(タンパク尿軽減)。(5)タンパク尿:UPC>0.5でACE阻害薬またはテルミサルタン(Semintra)1 mg/kg 24時間毎。(6)代謝性アシドーシス:HCO3⁻<18 mEq/LでNaHCO3 8〜12 mg/kg 12時間毎。(7)貧血:PCV<20%でダルベポエチンアルファ0.45〜0.75 μg/kg SC 週1回+鉄補充。(8)悪心/嘔吐:マロピタント、ファモチジン、オンダンセトロン。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • For Antioxidant (アスタキサンチン+SOD+VitE+システイン): 抗酸化・慢性疾患免疫サポート • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート • NMNミトコンドリアアシスト (NMN+α-リポ酸+システイン+プロバイオティクス): 細胞エネルギー代謝・サーチュイン活性化・抗老化 • CPパウダー (プレバイオ+プロバイオ+サイリウム): 腸内細菌叢正常化・腸管バリア強化・腸腎連関 • Booster & Relax (アダプトゲン+Bビタミン複合体): ウイルス後回復・内分泌疾患エネルギー補給・高齢期慢性疲労 ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意 ※CPパウダー: 完全腸閉塞は禁忌
予防
腎毒性薬物(NSAIDs:最低有効用量・十分な水分補給を維持)の使用最小化、UTI/腎盂腎炎の早期治療、高齢犬(>7歳)・好発品種での年1回尿検査+クレアチニン測定。SDMAはクレアチニンより17ヶ月早期にCKDを検出。
予後
診断時のIRISステージが最重要予後因子。Stage 1〜2:適切管理で数年間のQOL維持可能。Stage 3〜4:積極的治療で数ヶ月。UPC>1.0と高血圧は進行の独立リスク因子。定期モニタリング(安定期はq3〜6ヶ月、進行期はq4〜8週)で早期介入が可能。
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