免疫介在性多発性関節炎
概要
複数関節の免疫介在性好中球性炎症。移動性跛行・関節腫脹・発熱・倦怠感を引き起こす。I型(特発性)が最多(50〜60%);II〜IV型は反応性(感染・消化管疾患・腫瘍)。重要な鑑別:感染性関節炎(単一の熱感関節・高熱・急性)、感染性(ライム病・リケッチア・エーリキア)、びらん性関節炎(RA様)。中〜大型犬2〜6歳;スパニエル、レトリーバー、ジャーマンシェパードに好発。
主な症状
原因
I型(特発性):遺伝的素因・免疫調節異常。II型:慢性感染(UTI・膿皮症・肺炎・歯周病)。III型:消化管疾患(IBD・腸リンパ腫)・肝疾患。IV型:腫瘍(リンパ腫が最多)。薬剤誘発性:サルファ剤・ペニシリン系。ダニ媒介性(ボレリア・エーリキア・アナプラズマ)—重要な除外診断。
病態生理
免疫複合体沈着またはT細胞調節異常→滑膜への好中球浸潤→滑膜過形成→炎症性関節水腫(WBC 5,000〜100,000/μL、好中球主体)→関節腫脹・疼痛・全身症状。非びらん性(最多):軟骨は保護される;びらん性(稀、RA様):パンヌス形成→軟骨下骨侵食。I型:特発性;II型:遠隔感染への反応性;III型:消化管/肝疾患への反応性;IV型:腫瘍への反応性。
治療
I型(特発性):免疫抑制プレドニゾロン2 mg/kg/日 PO、4〜6週間→4週毎に25〜50%漸減(4〜6ヶ月かけて)→最低有効量で維持。導入期は月1回CBC/血生化学モニタリング。不完全反応またはステロイド副作用過多の場合:アザチオプリン2 mg/kg/日(1〜3日目)その後隔日(犬のみ—猫はアザチオプリン感受性)、またはシクロスポリン5〜10 mg/kg SID、またはレフルノミド3〜4 mg/kg SID。II〜IV型(反応性):基礎疾患の治療(感染には抗菌薬、リンパ腫には化学療法、IBDには消化管治療)+必要時短期ステロイド。薬剤誘発性:原因薬剤の中止—通常数日〜数週で免疫抑制なしに消退。ダニ媒介性:ドキシサイクリン10 mg/kg SID 4週間(ライム病・エーリキア・アナプラズマ)—多くは全コース完了前に臨床症状消失。ステロイド療法中のNSAIDsは禁忌(消化管リスク)。関節サプリメント(EPA/DHA、グルコサミン)補助的投与。寛解期には穏やかなROM運動。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • For Joint (MSM+グルコサミン/コンドロイチン): 関節軟骨保護・抗炎症 • For Antioxidant (アスタキサンチン+SOD+VitE+システイン): 抗酸化・慢性疾患免疫サポート • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート • Relax & CBD (フルスペクトラムCBD): 慢性疼痛・不安・難治性てんかん・緩和ケア • Booster & Relax (アダプトゲン+Bビタミン複合体): ウイルス後回復・内分泌疾患エネルギー補給・高齢期慢性疲労 ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意 ※Relax & CBD: 肝代謝(CYP450)薬物相互作用に注意
予防
特異的予防法はない。ダニ暴露の制御(ダニ予防:イソオキサゾリン系—フルララネル・アフォキソラネル・サロラネー月1回)。反応性IMPAの引き金となる前に感染症の迅速な治療。好発犬種でのサルファ剤等の関与薬剤を避ける。
予後
I型(特発性):60〜70%が免疫抑制療法で長期寛解を達成;30〜40%が再発し生涯治療が必要。II〜III型(反応性):基礎疾患のコントロールで多関節炎は完全に消退することが多い—良好。IV型(腫瘍性):基礎腫瘍の予後に依存。薬剤誘発性:薬剤中止後に優良な予後。びらん性IMPA(稀):不良—治療にもかかわらず進行性関節破壊;救済手術が必要なことも。
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