胃癌
概要
慢性嘔吐、体重減少、消化管出血を引き起こす胃の悪性腫瘍で、予後は不良です。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示す犬の他の疾患を確認できます
臨床徴候
犬における胃癌の臨床徴候は罹患臓器と腫瘍の種類により多様。一般的所見: 進行性の腫瘤形成・体重減少・食欲不振・元気消失・貧血。体表腫瘤では触知可能な腫脹・疼痛を、内臓腫瘍では腹部膨満・嘔吐・下痢・呼吸困難・リンパ節腫大などの非特異的症状を呈する。傍腫瘍症候群として高カルシウム血症(リンパ腫・肛門周囲腺癌)や低血糖(インスリノーマ)を合併することがある。
原因
原因不明。ベルジアンシェパード(ベルジアンタービュレン)に好発との報告。中高齢の雄犬に多い。慢性嘔吐の高齢犬では内視鏡/エコーで精査すべき。ヘリコバクター感染との関連は犬では不明確。
病態生理
胃粘膜上皮の悪性増殖→胃壁の肥厚・潰瘍形成→幽門閉塞(嘔吐の原因)・消化管出血。胃小弯・幽門部に好発。腺癌が最多。腹膜播種・肝臓転移が高率。診断時に多くが進行期。
診断
内視鏡で胃壁の潰瘍性/浸潤性腫瘤を確認。生検で腺癌(最多)/未分化癌を確定。腹部超音波で胃壁肥厚と層構造の消失を確認。CT/造影CTで転移(リンパ節、肝臓)を評価。CBC/生化学で貧血(慢性出血)、低アルブミン血症を確認。便潜血陽性。慢性嘔吐・体重減少・食欲不振の臨床症状。ベルジアン・シェパードに好発。予後不良(MST 2-3ヶ月)。
治療
【犬における胃癌】 胃癌は腫瘍の組織学的型・グレード・局在・転移有無で治療方針が大きく変わる。確定診断は針生検またはincisional biopsyで取得し、TNM分類でステージングを完了。 外科的完全切除が可能なら広範マージン外科的切除を第一選択(推奨マージン2-3cm、攻撃的肉腫・MCT高グレードは3-5cm、種・部位・組織型で調整)。 切除不能例・残存例には化学療法(プロトコルは腫瘍型別、リンパ腫はCHOP、肥満細胞腫はビンブラスチン+プレドニゾロン等)または緩和的放射線療法。 オーナーの治療希望・予算・犬のQOLを総合判断し、緩和ケア選択肢も提示する。 具体的な薬剤目安: Carboplatin 300 mg/m² IV、Toceranib 2.75 mg/kg PO。 支持療法: 輸液(晶質液 60-80 mL/kg/日 IV、ショック時 90 mL/kg初期ボーラス)、酸素化、栄養管理、疼痛管理。メサドン 0.1-0.5 mg/kg IM/IV q4-6h またはブプレノルフィン 0.01-0.02 mg/kg IM q6-8h。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によっては犬の専門医紹介を考慮する。
PRPR・自社製品(補助療法オプション)
予防
確実な予防法はない。慢性嘔吐・体重減少の高齢犬の早期精査。外科的切除+化学療法だが予後不良(MST 2〜6ヶ月)。
予後
犬における胃癌は上皮性悪性腫瘍で、臨床ステージ・組織学的グレード・切除マージン・転移の有無が予後を規定する。早期・限局例は外科的広範切除で良好な予後が得られるが、浸潤・転移例では予後不良。完全切除が難しい部位では放射線療法・化学療法を併用する集学的治療を検討する。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
腫瘍の他の疾患(犬)
VetDictで犬の鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。