眼瞼腫瘤(マイボーム腺腫)
概要
眼瞼のマイボーム腺の良性腫瘍で、高齢犬に多く、角膜を刺激することがあります。
主な症状
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原因
犬における眼瞼腫瘤(マイボーム腺腫)の発生には複数要因が複合的に関与する。遺伝的素因(品種特異的好発性)、慢性炎症の持続、発癌性ウイルス感染(FeLV関連リンパ腫等の特異的例を除く)、化学発癌物質への長期曝露、ホルモン異常(性ホルモン依存性腫瘍)、免疫監視機構の破綻、紫外線・電離放射線曝露が主要因子。加齢に伴うDNA修復能低下と細胞増殖制御異常が促進因子となる。早期発見と病期診断(TNM分類)が予後改善と治療選択の基盤である。
病態生理
眼瞼腫瘤は眼瞼のマイボーム腺(瞼板腺)から発生する良性腫瘍で、犬の眼瞼腫瘤の80%以上を占める。8歳以上の高齢犬に好発し、眼瞼縁に球状〜乳頭状の肉色腫瘤として出現する。腫瘤が角膜を機械的に刺激し、角膜潰瘍・慢性結膜炎・流涙の原因となる。小型(<5mm)で無症状なら経過観察可能。角膜刺激症状がある場合はV-lid法・楔状切除等の外科的切除が標準で再発は稀。
治療
【犬における眼瞼腫瘤(マイボーム腺腫)】 眼瞼腫瘤(マイボーム腺腫)は腫瘍の組織学的型・グレード・局在・転移有無で治療方針が大きく変わる。確定診断は針生検またはincisional biopsyで取得し、TNM分類でステージングを完了。 外科的完全切除が可能なら広範マージン外科的切除を第一選択(推奨マージン2-3cm、攻撃的肉腫・MCT高グレードは3-5cm、種・部位・組織型で調整)。 切除不能例・残存例には化学療法(プロトコルは腫瘍型別、リンパ腫はCHOP、肥満細胞腫はビンブラスチン+プレドニゾロン等)または緩和的放射線療法。 オーナーの治療希望・予算・犬のQOLを総合判断し、緩和ケア選択肢も提示する。 支持療法: 輸液(晶質液 60-80 mL/kg/日 IV、ショック時 90 mL/kg初期ボーラス)、酸素化、栄養管理、疼痛管理。メサドン 0.1-0.5 mg/kg IM/IV q4-6h またはブプレノルフィン 0.01-0.02 mg/kg IM q6-8h。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によっては犬の専門医紹介を考慮する。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • For Antioxidant (アスタキサンチン+メロンSOD+VitE+システイン(アスタアミノ処方)): 抗酸化・慢性疾患免疫サポート。アスタキサンチン(カロテノイド系)+SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)が活性酸素種を消去。CKD・肝疾患・アトピー・ダニ媒介性感染症の酸化ストレス軽減、高齢動物の免疫機能維持に
予防
犬における眼瞼腫瘤(マイボーム腺腫)の予防には、ホルモン依存性腫瘍に対する早期避妊去勢手術(乳腺腫瘍・前立腺癌・精巣腫瘍・子宮腺癌・肛門腺癌等)が確立された予防策。発癌性物質への曝露回避(タバコの煙・農薬・タール・特定の合成樹脂)、適正体重維持、抗酸化物質を含むバランスの取れた食事、紫外線過剰曝露の回避が予防に寄与する。定期的健康診断(触診・画像診断・血液検査)による早期発見が最も実効性ある予防策。発癌性ウイルス予防(FeLV ワクチン)も重要。
予後
犬における眼瞼腫瘤(マイボーム腺腫)は良性腫瘍で、外科的完全切除により治癒が期待でき予後は良好。切除困難な部位・高齢・基礎疾患で麻酔リスクが高い場合は経過観察も選択肢となる。不完全切除では局所再発がありうるため切除マージンの病理評価が望ましい。急速な増大・出血・潰瘍化を認める場合は悪性転化を疑い再評価する。
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