銅蓄積症
概要
銅の排泄障害により肝臓に銅が蓄積する遺伝性疾患です。
主な症状
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臨床徴候
犬における銅蓄積症の臨床徴候はホルモン異常または代謝障害の種類により特異的パターンを示す。糖尿病: 多飲多尿・多食・体重減少。甲状腺機能亢進: 体重減少・多食・多動・心拍数上昇。クッシング症候群: 腹部膨満・脱毛・多飲多尿・薄い皮膚。アジソン病: 元気消失・嘔吐・下痢・電解質異常。低血糖: 振戦・痙攣・意識低下。早期は無症候性に進行することが多く、定期的内分泌スクリーニングが早期発見の鍵。
原因
犬における銅蓄積症の原因は内分泌腺の機能異常または代謝経路の障害である。具体的には自己免疫性内分泌腺破壊、腫瘍性ホルモン産生(機能性腺腫・癌)、医原性(長期ステロイド・薬剤)、栄養性(食事性ミネラル・ビタミン異常)、遺伝性酵素欠損が含まれる。年齢、肥満、品種特異的素因、併発疾患(膵炎・腎不全による二次性内分泌異常)が発症リスクを修飾する。早期診断のための内分泌スクリーニング検査の活用が重要。
病態生理
犬における銅蓄積症の病態生理は内分泌腺機能異常または代謝経路障害により全身ホメオスタシスが破綻する。糖尿病: β細胞機能不全とインスリン抵抗性により慢性高血糖、終末糖化産物形成、微小血管障害、多臓器合併症を引き起こす。甲状腺機能亢進: T3/T4過剰により基礎代謝亢進、心拍出量増加、体重減少、二次性高血圧と腎機能低下を引き起こす。クッシング症候群: 慢性的コルチゾール過剰により蛋白異化、免疫抑制、二次性糖尿病、感染感受性増大を引き起こす。
診断
犬の銅蓄積症の診断は肝生検による肝臓銅定量で確定する。肝生検(Tru-cut or 楔状切除): 銅定量(乾燥重量)>400 ppm(μg/g DW)で異常、>1,000 ppmで銅蓄積症確定。病理組織: ルベアン酸/ロダニン染色で銅沈着の可視化。Zone 3(小葉中心帯)に好発。慢性肝炎→肝硬変への進行。血液生化学: ALT上昇(肝細胞障害の最も早期の指標)、ALP上昇、ビリルビン上昇(進行例)。腹部超音波: 肝実質エコー変化(肝炎/線維化)、肝サイズ変化、腹水(肝硬変期)。凝固検査: PT/APTT延長(肝不全時)。好発: ベドリントンテリア(COMMD1遺伝子変異 — 最重症)、ラブラドール、ドーベルマン、ダルメシアン、WHWT。遺伝子検査: COMMD1(ベドリントン)、ATP7B関連遺伝子。
治療
銅キレート剤:D-ペニシラミン 10-15 mg/kg PO q12h(空腹時、嘔吐が多い副作用→制吐薬併用)。トリエンチン 10-15 mg/kg PO q12h(D-ペニシラミン不耐時の代替)。肝保護:亜鉛(酢酸亜鉛/グルコン酸亜鉛 元素亜鉛 10 mg/kg/日 PO 分2)— 腸管でのCu吸収を阻害(メタロチオネイン誘導)。ウルソデオキシコール酸 10-15 mg/kg/日 PO。SAMe 20 mg/kg/日 PO。低銅食(レバー・貝類回避)。肝生検でCu>400 μg/g DWで確定。好発:ベドリントンテリア(COMMD1遺伝子変異)、ラブラドール、ドーベルマン、ウェストハイランドホワイトテリア。
予防
犬における銅蓄積症の予防は適正体重維持と適切な栄養管理が中核。糖尿病: 肥満予防(BCS 4-5/9)、低炭水化物食、定期運動、ステロイド長期使用の回避。甲状腺機能亢進症(猫): ヨウ素過剰摂取の回避、缶詰食のBPA曝露低減、年1回のT4スクリーニング(10歳以上)。クッシング症候群: 早期発見のための定期的臨床評価。アジソン病: 確立された予防法なし、症状の早期認識が重要。
予後
犬における銅蓄積症の予後はホルモン・代謝異常の種類と是正の可否、合併症の有無により異なる。早期診断と病態に応じた適切な治療・モニタリングにより多くの症例で良好な経過が期待できるが、進行例・合併症を伴う例では予後が悪化しうる。
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