ビタミンD中毒
概要
コレカルシフェロール(ビタミンD3)過剰摂取による高カルシウム血症と続発性腎不全。摂取源:コレカルシフェロール含有殺鼠剤(第三世代殺鼠剤—最も危険)・ビタミンDサプリメントの過剰補充・カルシポトリオール/カルシトリオール(乾癬治療軟膏)・汚染ペットフード(リコール事例あり)。毒性量:0.1 mg/kg(100,000 IU/kg)。高Ca血症は摂取後18〜36時間で発症;軟部組織石灰化と腎不全は1〜3日かけて進行する。ビタミンD蓄積の持続により2〜3週間の治療が必要な場合がある。
主な症状
原因
コレカルシフェロール含有殺鼠剤ベイト(Quintox等—他の殺鼠剤ベイトと外見上区別困難;第三世代殺鼠剤)。ヒト用ビタミンDサプリメント(過剰補充—特にD3カプセル・大量のタラ肝油)。カルシポトリオール/カルシトリオール乾癬治療軟膏(犬が飼い主の皮膚から舐める—非常に強力)。汚染商業ペットフード(製造エラーによるビタミンD過剰のリコール事例複数あり)。外用ビタミンD軟膏。
病態生理
過剰なコレカルシフェロール(D3)→肝臓での25-水酸化→25-OHD3→腎臓での1α-水酸化→1,25-(OH)2D3(カルシトリオール、活性型)→(1)腸管Ca/リン吸収増加;(2)破骨細胞介在性の骨Ca動員増加;(3)腎臓Ca再吸収増加→高Ca血症(>12 mg/dL)→(a)軟部組織の石灰化(腎臓・胃粘膜・心血管系・関節)→急性尿細管壊死/腎不全;(b)腎原性尿崩症(高Ca血症がADH作用を阻害);(c)心臓不整脈(Caが心臓伝導に影響)。効果は2〜3週間持続する(25-OHD3と1,25-OHD3代謝物の体内蓄積)。
治療
消化管除染(1〜2時間以内):アポモルヒネ0.03 mg/kg IV→活性炭1〜3 g/kg PO(脂溶性D3への有効性は限定的—コレスチラミン0.3 g/kg 8時間毎と併用し最長48hのGI内ビタミンD封鎖)。高Ca血症管理(主要目標):(1)積極的IV生食利尿(0.9% NaCl—Caを含むLRSは使用しない—3〜5 mL/kg/h):Ca尿中排泄促進—尿量>2 mL/kg/h維持;(2)フロセミド2〜4 mg/kg IV 6〜12時間毎:Ca利尿効果(適切な補液後のみ使用);(3)プレドニゾロン1〜2 mg/kg/日 PO:腸管Ca吸収+骨吸収抑制+腎Ca排泄増加;(4)ビスフォスフォネート(パミドロン酸1.3〜2 mg/kg IV、2〜4時間かけて):破骨細胞活性阻害—重篤な高Ca血症(>14 mg/dL)に最も効果的;1回投与で1〜4週間の効果が持続することが多い;(5)サーモンカルシトニン4〜8 IU/kg SC 8〜12時間毎:急速(数時間)な降Ca血症効果—ビスフォスフォネートの効果(48〜72時間後発現)までのブリッジに有用。GI保護:オメプラゾール1 mg/kg IV 12時間毎(胃粘膜石灰化による潰瘍予防)。腎不全:尿量モニタリング・Ca含有輸液の回避。回復期間中はビタミンDとCaを制限した食事。期間:通常2〜4週間の治療が必要(ビタミンD代謝物の半減期が長い)。Ca正常化まで48〜72時間毎に血清Ca再検査。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • For Antioxidant (アスタキサンチン+SOD+VitE+システイン): 抗酸化・慢性疾患免疫サポート • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート • Booster & Relax (アダプトゲン+Bビタミン複合体): ウイルス後回復・内分泌疾患エネルギー補給・高齢期慢性疲労 ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意
予防
ペットがアクセスできる場合はコレカルシフェロール殺鼠剤を絶対使用しない。全てのビタミンDサプリメントを安全に保管。ビタミンD汚染のペットフードリコール(FDA/農水省)を確認。カルシポトリオール/カルシトリオールクリーム:犬のアクセスを防ぎ、ペットを扱う前に手を洗う。
予後
軽度(Ca<14 mg/dL、腎障害なし):生食利尿+フロセミド+プレドニゾロンで良好。重度(Ca>16 mg/dL、確立したAKI):慎重—腎石灰化は不可逆の可能性。>2週間の治療が必要な犬:長期的な腎機能について慎重。重要:Ca×Pが石灰化閾値に達する前の早期積極的介入。ビスフォスフォネート治療は重篤な症例の予後を著しく改善する。回復後の長期的なビタミンD補充の制限が必要。
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