鼠径ヘルニア
概要
腹腔内容物が鼠径輪を通じて突出し、嵌頓して緊急手術が必要になることがあります。
主な症状
原因
胚発生中の消化器系発達異常が原因。遺伝子変異(常染色体優性・劣性・多因子性)・染色体異常・催奇形物質曝露に起因しうる。近親交配が先天性欠損のリスクを増加。特定のウサギ系統に品種特異的素因が存在しうる。
病態生理
ウサギの消化器系の先天性異常は、胚発生中の発達エラーに起因し、遺伝子変異・染色体異常・催奇形物質曝露が関与しうる。構造的または機能的欠損は出生時に明らかか、成長に伴い臨床的に顕在化する。一部のウサギ系統では遺伝的要因による品種特異的素因が存在する。
治療
全身麻酔下(イソフルラン/セボフルラン)での鼠径ヘルニア修復術が根治的治療。術前準備: 食事制限は最小限(最大1-2時間 — ウサギの長時間絶食は厳禁; 飲水は維持)。嵌頓/絞扼の場合: 緊急手術 — 術中に腸管生存性を評価、壊死部位があれば切除吻合術。手術アプローチ: ヘルニア内容物を還納、ヘルニア嚢を切除、非吸収性縫合糸で鼠径輪を閉鎖。未去勢雄には同時去勢を推奨(精索の体積を除去し再発を予防)。周術期抗菌薬: エンロフロキサシン 10-20 mg/kg SC 導入時(経口ペニシリンは絶対禁忌 — 致死性腸内細菌叢破壊)。疼痛管理: ブプレノルフィン 0.01-0.05 mg/kg SC q6-8h × 48-72時間 + メロキシカム 0.3-1.0 mg/kg PO/SC q24h × 7-10日。術後のGI stasis予防が極めて重要: 覚醒直後からチモシー牧草を提供、食欲不振時は強制給餌クリティカルケア、イレウス発症時はメトクロプラミド 0.5-1.0 mg/kg SC q6-8h、ガス貯留にシメチコン 65-130 mg PO q3-4h。術後保温(20-24℃)。切開部の縫合離開を監視。10-14日間の活動制限。参考文献: Harcourt-Brown (2002), Quesenberry & Carpenter (2020).
予防
予防には適切な飼育管理(適切な食事・清潔な環境・最適な温湿度);定期的な獣医師の健康診断;新規動物の検疫;ストレス軽減;種特異的予防措置が含まれる
予後
先天性疾患の予後は異常の種類と重症度に依存する。軽度の機能的異常は管理可能で予後良好。重度の構造的異常は外科的介入が必要な場合があり、予後は変動的。遺伝性疾患の場合、罹患個体の繁殖は避けるべき。
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