胃潰瘍
概要
ストレス、NSAIDの使用、併発疾患による胃粘膜のびらんです。
主な症状
原因
ウサギにおける胃潰瘍の原因: ストレス(環境変化、疼痛、手術後)が最も一般的な誘因。NSAIDの長期使用、毛球症(胃内毛球による粘膜刺激)、長時間の絶食による胃酸過多、不適切な食事(繊維不足)による消化管運動低下も原因となる。ウサギは後腸発酵動物であり、消化管うっ滞から二次的に胃潰瘍を発症することが多い。併発疾患(腎不全、肝疾患)による粘膜血流低下も素因となる。
病態生理
胃潰瘍はウサギにおける消化器疾患である。ストレスや疼痛によるコルチゾール上昇が胃粘膜の防御機構(粘液・重炭酸分泌)を低下させ、胃酸による粘膜自己消化が生じる。ウサギは後腸発酵動物であり、消化管うっ滞(GI stasis)により胃内容物の停滞・胃酸過多が起こりやすく、二次的に胃潰瘍を発症する。毛球症では毛球が胃粘膜を機械的に刺激し潰瘍形成を促進する。NSAIDの使用はプロスタグランジン産生を抑制し粘膜血流を低下させる。穿孔性潰瘍は腹膜炎・敗血症に至り致死的となる。
治療
ウサギにおける胃潰瘍の治療: 胃酸分泌抑制にラニチジン(2-5 mg/kg PO q12h)またはオメプラゾール(0.5-1.0 mg/kg PO q24h)。粘膜保護にスクラルファート(25 mg/kg PO q8-12h、他の薬剤と2時間以上間隔を空ける)。消化管運動促進にメトクロプラミド(0.5 mg/kg PO/SC q8h)。疼痛管理にメロキシカム(0.3-0.5 mg/kg PO q24h、ただし潰瘍悪化リスクを考慮)。高繊維食(チモシー干し草)の早期再開で消化管運動を回復させる。脱水補正のための輸液療法と、食欲不振が続く場合は強制給餌(シリンジフィーディング)が不可欠。
予防
胃潰瘍の予防には適切な飼育管理、種に合ったバランスの取れた栄養、定期的な健康診断、ストレスの最小化、清潔な生活環境の維持、初期臨床徴候への迅速な対応が含まれる。
予後
胃潰瘍の予後は適切な管理により一般的にやや良好〜良好である。早期診断された症例の多くは治療に良好に反応する。慢性例や再発例では長期管理が必要だが、概ね許容できるQOLを維持できる。定期的なモニタリングにより合併症の早期発見・対処が可能となる。
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