鞭虫症
概要
大腸に寄生し、慢性の血便と体重減少を引き起こします。
主な症状
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臨床徴候
犬における鞭虫症の臨床徴候は寄生虫種・寄生部位・寄生数により異なる。消化管寄生では下痢・嘔吐・体重減少・腹部膨満、外部寄生では掻痒・脱毛・皮膚炎、心血管寄生では咳・運動不耐性・腹水、血液寄生では貧血・発熱・元気消失を呈する。幼若・栄養不良個体では重症化しやすく、慢性経過では発育不良が顕著となる。
原因
Trichuris vulpis。糞口感染。虫卵は環境中で極めて抵抗性が高く数年間生存。都市部の公園や庭に汚染が残存。感染力量型(prepatent period 3ヶ月と長い)。
病態生理
Trichuris vulpisの虫卵経口摂取→盲腸・結腸で幼虫が粘膜に穿入→成虫が頭部を粘膜に埋没させ吸血→大腸粘膜の炎症・出血→粘血便。大量感染時はアジソン病様の電解質異常(低Na・高K)を呈する偽アジソン症候群。
診断
糞便検査(浮遊法、硫酸亜鉛推奨)でTrichuris vulpis虫卵を検出(レモン型/樽型、72-90×32-40μm、両極栓)。間欠的排卵のため複数回検査推奨。慢性大腸性下痢(粘液血便)、体重減少、しぶり。重度感染: 低Na/高K(Addison病様電解質異常、偽アジソン)→ACTH刺激試験で鑑別。盲腸の大腸鏡検査で虫体(鞭状)の直接確認も可能。
治療
犬における鞭虫症の治療には、同定された寄生虫に応じた適切な駆虫薬が必要である。一部の駆虫薬は特定の種に有毒であるため、種に適した用量設定が重要である。全てのライフステージを排除するため複数回投与が必要な場合がある。環境消毒と接触動物の治療で再感染を防止する。貧血、脱水、栄養失調などの二次的合併症に対する支持療法を行う。
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予防
月1回のフェンベンダゾール含有駆虫薬(ミルベマイシン・モキシデクチンは鞭虫に有効)、環境の糞便除去、定期的な糞便検査(浮遊法)。
予後
犬における鞭虫症の予後は寄生虫種・寄生数・宿主免疫状態・治療反応性により異なる。早期発見と適切な駆虫薬投与により多くの寄生虫症は良好な予後だが、重度感染・心血管寄生虫・血液寄生虫では治療反応が遅延する。再感染予防のための環境管理・媒介動物制御の継続が長期予後を左右する。免疫不全状態では治療抵抗性となるため、基礎疾患管理も並行する。
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