精巣腫瘍
概要
セルトリ細胞腫・セミノーマ・間質細胞腫を含む精巣の腫瘍です。
主な症状
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臨床徴候
犬における精巣腫瘍の臨床徴候は罹患臓器と腫瘍の種類により多様。一般的所見: 進行性の腫瘤形成・体重減少・食欲不振・元気消失・貧血。体表腫瘤では触知可能な腫脹・疼痛を、内臓腫瘍では腹部膨満・嘔吐・下痢・呼吸困難・リンパ節腫大などの非特異的症状を呈する。傍腫瘍症候群として高カルシウム血症(リンパ腫・肛門周囲腺癌)や低血糖(インスリノーマ)を合併することがある。
原因
停留精巣が最大のリスク因子(特に腹腔内停留)。加齢(平均10歳)。セルトリ細胞腫・セミノーマは停留精巣に好発。未去勢の高齢犬。
病態生理
セルトリ細胞腫:エストロゲン産生→雌性化(女性化乳房・対側精巣萎縮・骨髄抑制→致死的汎血球減少症)。セミノーマ:精祖細胞由来、多くは良性。間質細胞腫:テストステロン産生。停留精巣(陰睾)は腫瘍化リスク13.6倍。
診断
精巣腫大(非対称)または停留精巣の腫大で発見。セミノーマ、セルトリ細胞腫、間質細胞腫の3型が各約1/3。エコーで精巣内腫瘤の性状を評価。セルトリ細胞腫: 雌性化徴候(乳房腫大、両側対称性脱毛、包皮垂下、骨髄抑制/再生不良性貧血)。CBC: エストロゲン過剰で汎血球減少。停留精巣は腫瘍リスク13倍。転移評価: 鼠径/腸腰リンパ節FNA、胸腹部画像。腫瘍マーカー: AFP、インヒビン。
治療
【犬における精巣腫瘍】 精巣腫瘍は腫瘍の組織学的型・グレード・局在・転移有無で治療方針が大きく変わる。確定診断は針生検またはincisional biopsyで取得し、TNM分類でステージングを完了。 外科的完全切除が可能なら広範マージン外科的切除を第一選択(推奨マージン2-3cm、攻撃的肉腫・MCT高グレードは3-5cm、種・部位・組織型で調整)。 切除不能例・残存例には化学療法(プロトコルは腫瘍型別、リンパ腫はCHOP、肥満細胞腫はビンブラスチン+プレドニゾロン等)または緩和的放射線療法。 オーナーの治療希望・予算・犬のQOLを総合判断し、緩和ケア選択肢も提示する。 具体的な薬剤目安: Cisplatin 60 mg/m² IV。 支持療法: 輸液(晶質液 60-80 mL/kg/日 IV、ショック時 90 mL/kg初期ボーラス)、酸素化、栄養管理、疼痛管理。メサドン 0.1-0.5 mg/kg IM/IV q4-6h またはブプレノルフィン 0.01-0.02 mg/kg IM q6-8h。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によっては犬の専門医紹介を考慮する。
予防
早期去勢手術(特に停留精巣犬は必須)、未去勢犬の精巣の定期触診。
予後
去勢術(両側精巣摘出)で多くは治癒し予後良好。セミノーマと間質細胞腫は転移率<5%。セルトリ細胞腫は転移率10-15%。骨髄抑制を伴うセルトリ細胞腫は予後不良(汎血球減少の回復に数ヶ月、不可逆例あり)。早期去勢が最も確実な予防 (MacLachlan NJ & Kennedy PC. 2017)。
関連する薬品
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