フォンウィルブランド病
概要
犬で最も多い遺伝性出血性疾患です。フォンウィルブランド因子の異常により、外傷後の出血遷延が起こります。
主な症状
原因
常染色体遺伝。Type 1:ドーベルマン(最多、約70%がキャリアまたは罹患)、コーギー、シェルティ、ゴールデン。Type 2:ジャーマンワイヤーヘアードポインター。Type 3:スコティッシュテリア、シェルティ、チェサピークベイレトリーバー。遺伝子検査が可能。
病態生理
フォンウィルブランド因子(vWF)の量的/質的異常→一次止血(血小板粘着・凝集)の障害→粘膜出血傾向(鼻出血・歯肉出血・消化管出血・尿路出血・発情期出血遷延)。3型に分類:Type 1(vWF量の低下、最多・軽度)、Type 2(vWF多量体の異常、中等度)、Type 3(vWF完全欠損、重度・致死的出血のリスク)。術前・外傷後に初めて診断されることが多い。
治療
根治療法なし(遺伝性)。出血時:クリオプレシピテート(vWF含有)が最適、新鮮凍結血漿(FFP)10-15 mL/kg IVが代替。デスモプレシン(DDAVP)1 μg/kg SC/IV — Type 1で一時的にvWF放出を促進(術前30分に投与)。Type 2/3では無効。抗線溶薬(トラネキサム酸 10-25 mg/kg PO/IV q8h)で粘膜出血管理。NSAIDs・アスピリン禁忌。術前スクリーニング推奨。好発:ドーベルマン(Type 1)、ジャーマンショートヘアードポインター(Type 2)、スコティッシュテリア(Type 3)。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意
予防
好発犬種のvWF遺伝子検査による繁殖管理、罹患犬の術前にvWF活性測定・デスモプレシン(DDAVP)前投与、止血に影響する薬剤(NSAIDs・アスピリン)の回避。
予後
予後は異常の種類と重症度により著しく異なる。軽度の形態異常は外科的矯正により正常な生活が可能であるが、重度の多臓器奇形では生存率が低い。早期診断と適切な介入により機能的予後を改善できる症例が多い。遺伝性疾患では進行性の経過をたどるものもあり、長期的なモニタリングと支持療法が生活の質の維持に重要である。
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