フォンウィルブランド病
概要
犬で最も多い遺伝性出血性疾患です。フォンウィルブランド因子の異常により、外傷後の出血遷延が起こります。
主な症状
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臨床徴候
犬におけるフォンウィルブランド病の臨床徴候は病態と進行段階により多様である。一般的非特異的所見(食欲不振・元気消失・体重減少)に加え、罹患臓器・系統に特異的な症状が顕在化する。病歴聴取と詳細な身体検査により症状パターンを把握し、補助検査で確定診断に至る。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
原因
常染色体遺伝。Type 1:ドーベルマン(最多、約70%がキャリアまたは罹患)、コーギー、シェルティ、ゴールデン。Type 2:ジャーマンワイヤーヘアードポインター。Type 3:スコティッシュテリア、シェルティ、チェサピークベイレトリーバー。遺伝子検査が可能。
病態生理
フォンウィルブランド因子(vWF)の量的/質的異常→一次止血(血小板粘着・凝集)の障害→粘膜出血傾向(鼻出血・歯肉出血・消化管出血・尿路出血・発情期出血遷延)。3型に分類:Type 1(vWF量の低下、最多・軽度)、Type 2(vWF多量体の異常、中等度)、Type 3(vWF完全欠損、重度・致死的出血のリスク)。術前・外傷後に初めて診断されることが多い。
診断
犬のフォンウィルブランド病(vWD)の診断はvWF抗原量測定で確定する。vWF:Ag(ELISA): <50%で異常、<35%で臨床的出血リスク高い。Type 1(最多 — 量的欠損): vWF:Ag 15-60%。Type 2(質的異常 — 高分子量multimer欠損)。Type 3(完全欠損 — vWF:Ag <1%)。頬粘膜出血時間(BMBT): 延長(>4分)— スクリーニングだが感度にばらつき。PT/APTT: vWD単独では通常正常(APTTが軽度延長することあり)。血小板数: 正常。遺伝子検査: Type 1(ドーベルマン — vWF遺伝子変異)、Type 3(スコティッシュテリア、シェットランドシープドッグ)。好発: ドーベルマン(Type 1、最好発 — 有病率60-75%)、GSD、ゴールデンレトリバー。術前スクリーニングが重要。
治療
根治療法なし(遺伝性)。出血時:クリオプレシピテート(vWF含有)が最適、新鮮凍結血漿(FFP)10-15 mL/kg IVが代替。デスモプレシン(DDAVP)1 μg/kg SC/IV — Type 1で一時的にvWF放出を促進(術前30分に投与)。Type 2/3では無効。抗線溶薬(トラネキサム酸 10-25 mg/kg PO/IV q8h)で粘膜出血管理。NSAIDs・アスピリン禁忌。術前スクリーニング推奨。好発:ドーベルマン(Type 1)、ジャーマンショートヘアードポインター(Type 2)、スコティッシュテリア(Type 3)。
予防
好発犬種のvWF遺伝子検査による繁殖管理、罹患犬の術前にvWF活性測定・デスモプレシン(DDAVP)前投与、止血に影響する薬剤(NSAIDs・アスピリン)の回避。
予後
犬におけるフォンウィルブランド病の予後は基礎病態・治療時期・併存疾患により異なる。早期診断と適切な治療介入により多くの症例で良好な予後が期待される。継続的なモニタリングと飼育環境管理が長期予後改善に重要である。重症例・進行例・基礎疾患合併例では予後が悪化することがある。
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