ブルセラ症
概要
繁殖障害・脊椎感染・関節炎を引き起こす細菌性人獣共通感染症です。
主な症状
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臨床徴候
犬におけるブルセラ症の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
犬のブルセラ症はグラム陰性菌 Brucella 属(犬では B. canis)の感染による。交尾・流産分泌物・体液を介して伝播する人獣共通感染症。
病態生理
犬ブルセラ症はBrucella canisによる全身性の細胞内寄生菌感染症。感染経路:交尾(精液/膣分泌物)、流産胎仔・胎盤への接触、経口(尿の舐め)。B. canisはマクロファージに貪食されるが細胞内で生存・増殖し、網内系臓器(脾臓、リンパ節、骨髄)に持続感染する。繁殖障害が主徴:雌犬では妊娠後期流産(45-59日)、死産、雄犬では精巣上体炎、精巣萎縮等。非繁殖関連症状として椎間板炎(discospondylitis)、前部ぶどう膜炎がある。【人獣共通感染症】ヒトへの感染リスクがあり(特に流産物の取り扱い)、感染犬の取り扱いにはPPE着用が必須 (Wanke MM. Theriogenology 2004;61:75-86)。
診断
繁殖犬の流産(妊娠45-55日目)、死産、精巣上体炎、椎間板脊椎炎で疑診。スクリーニング: RSAT(迅速スライド凝集試験)またはIDEXX 4Dx内部抗体。確定: 血液培養(Brucella canis、培養4-6週)、定量的ME-TAT(2-メルカプトエタノール管凝集試験)。PCR(血液)で迅速確認可能。偽陽性が多いため連続検査が必要。人畜共通感染症(ヒトへの感染リスク)。繁殖犬の検査プログラムが重要。
治療
完全根治は困難。ドキシサイクリン(10 mg/kg PO q12h)+ジヒドロストレプトマイシン(10 mg/kg IM q12h×7日)の併用が最も有効。エンロフロキサシン代替。最低8週間の治療。去勢/避妊で感染源を減らす。再発リスク高い。人獣共通感染症のため取扱い注意。繁殖犬は繁殖から除外。定期的RSAT/AGIDで抗体モニタリング。
予防
犬におけるブルセラ症の予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。
予後
完全な菌排除はきわめて困難。多剤併用(ドキシサイクリン+アミノグリコシドまたはリファンピシン、6-12週間)でも再発率が高い。去勢/避妊手術が菌排出低減と感染拡大防止に推奨。繁殖犬としての復帰は推奨されない(持続的キャリア状態)。人獣共通感染症リスクから、感染確認犬の安楽死が推奨される場合もある(特に繁殖施設)。血清学的検査(RSAT→確認試験AGID/ELISA)でスクリーニング。繁殖前の全犬の検査が最重要な予防策 (Wanke MM. Theriogenology 2004;61:75-86)。
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