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犬 (Dog) 泌尿器 緊急

殺鼠剤中毒

Rodenticide Poisoning / 殺鼠剤中毒

概要

殺鼠剤の種類により3つの毒性症候群:(1)抗凝固性(日本では最多—ブロディファコウム・ブロマジオロン・ワルファリン):摂取後2〜5日で体腔内出血;(2)ブロメタリン(神経毒):脳浮腫→けいれん・麻痺(12〜24時間);(3)コレカルシフェロール(ビタミンD3):高Ca血症→腎不全(1〜3日)。第二世代抗凝固剤(SGAR:ブロディファコウム・ブロマジオロン)は半減期が数週間〜数ヶ月と非常に長い—ビタミンK治療の長期継続が必要。

主な症状

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臨床徴候

犬における殺鼠剤中毒の臨床徴候は毒性物質の種類と曝露量により急性〜慢性まで多様。消化器症状(嘔吐・下痢・流涎・腹痛)が最も一般的な初期所見。神経毒では振戦・痙攣・運動失調・昏睡。肝毒では黄疸・凝固障害・肝性脳症。腎毒では乏尿・尿毒症徴候。血液毒では貧血・出血傾向・メトヘモグロビン血症。心血管毒では不整脈・低血圧・ショック。急性曝露では症状発現が迅速で、早期除染と支持療法が予後を決定する。

原因

抗凝固性殺鼠剤:ブロディファコウム(最も一般的—日本ではタロン等)、ブロマジオロン、ジフェチアロン、クロロファシノン、ワルファリン(第一世代、半減期短い)。ブロメタリン:白色が特徴。コレカルシフェロール:ビタミンD3ペレット。中継毒性:毒を摂取した齧歯類を食べた犬での発症(特にブロディファコウム—齧歯類の肝臓に蓄積)。SGAR(第二世代)での二次/三次暴露が可能。

病態生理

(1)抗凝固性殺鼠剤:ビタミンKエポキシド還元酵素(VKOR)阻害→ビタミンK依存性凝固因子II・VII・IX・X枯渇→凝固障害→体腔内出血(胸腔・心嚢・腹腔)・肺出血・CNS出血。第VII因子が最短半減期(6〜7時間)→最初に枯渇(PT延長が最初のマーカー)。臨床症状は因子枯渇後2〜5日で発現。(2)ブロメタリン:ミトコンドリア酸化的リン酸化の脱共役→脳浮腫→頭蓋内圧亢進→神経症状。(3)コレカルシフェロール:過剰ビタミンD3→高Ca血症→腎尿細管へのCa沈着→AKI+心臓不整脈。

診断

抗凝固性殺鼠剤(ワルファリン、ブロジファコウム等): 摂取3-5日後に出血症状(鼻出血、血胸、関節内出血、皮下出血)。PT延長がPIVKA値上昇に先行。PT/APTT著明延長(治療的ACT>正常の2倍)。PIVKA-II(ビタミンK欠乏蛋白)確定的。ブルメタリン・ブロディファコウム: 半減期が長く6-8週間のVitK1投与が必要。コレカルシフェロール型: 高Ca血症+急性腎障害。ブロメタリン型: 急性神経症状。摂取物の成分同定が治療方針決定に最重要。

治療

抗凝固性殺鼠剤:摂取後2時間以内なら消化管除染(アポモルヒネ→活性炭)。ビタミンK1(フィトナジオン)—解毒剤:負荷量5 mg/kg SQ(複数箇所に分割;IV投与はアナフィラキシーリスクのため禁忌)。経口維持:ビタミンK1 1〜5 mg/kg/日 PO(食事と共に—脂溶性のため食事中の脂肪が吸収に必要)BID分割。期間:ワルファリン/クロロファシノン3〜4週間;ブロディファコウム/ブロマジオロン(SGAR)6〜8週間以上。コース終了後48〜72時間後にPT再測定(治療中は測定しない)。活動性出血:FFP 10〜20 mL/kg IV(即時凝固因子補充)+ビタミンK1;重篤な貧血に全血輸血。呼吸困難に酸素投与。ブロメタリン:解毒剤なし;マンニトール0.5〜1 g/kg IV(脳浮腫)・けいれん管理(ジアゼパム/フェノバルビタール)・支持療法。コレカルシフェロール:積極的IV輸液(生食利尿)・フロセミド2〜4 mg/kg 8〜12時間毎(Ca利尿)・プレドニゾン2 mg/kg/日(腸管Ca吸収抑制)・パミドロン酸1.3〜2 mg/kg IV(4時間かけて、難治性高Ca血症)。

予防

ベイトステーション使用(ペットがアクセスできない)・ペットが届かない場所のみに設置。正確な製品名と有効成分を記録(治療計画に必須)。ペット安全代替法としてスナップトラップを検討。治療区域での齧歯類を犬が食べることを防ぐ(中継毒性)。摂取の疑いがあれば即時受診—症状を待つな(凝固障害は臨床症状発現前に進行する)。

予後

抗凝固性(出血前治療):適切なビタミンK1投与期間の遵守で優良。活動性出血合併:慎重—出血部位と重症度による(肺血胸:胸腔穿刺+FFP+酸素なしでは致死的なことが多い)。SGAR(ブロディファコウム):長期治療が必要—6〜8週間以上のオーナーコンプライアンスが達成されれば良好。ブロメタリン:脳浮腫の重症度により慎重〜不良。コレカルシフェロール:重篤な高Ca血症+AKIでは慎重〜不良。

関連する薬品

💊 フェノバルビタール 💊 モルヒネ 💊 ビタミンK1(フィトナジオン) 💊 マンニトール 💊 ワルファリン 💊 パミドロネート 💊 活性炭 💊 アポモルフィン

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