サモエド遺伝性糸球体症
概要
サモエドのX連鎖遺伝性腎炎で、進行性腎不全を引き起こし、雄がより早期・重度に罹患します。
主な症状
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臨床徴候
犬におけるサモエド遺伝性糸球体症の臨床徴候は病態と進行段階により異なる。慢性腎臓病: 多飲多尿・体重減少・食欲不振・嘔吐・口臭・脱水(早期は無症候)。急性腎障害: 無尿/乏尿・嘔吐・元気消失・電解質異常。下部尿路疾患(FLUTD/FIC): 頻尿・排尿困難・血尿・排尿時痛・不適切排尿、雄では尿閉(緊急)。尿路感染: 頻尿・血尿・濁尿・発熱(腎盂腎炎時)。
原因
X連鎖性遺伝。サモエドに特異的。雄は早期に致死的CKD。雌はキャリアで軽度。DNA検査可能。
病態生理
COL4A5遺伝子変異(X連鎖性)→IV型コラーゲン異常→糸球体基底膜破綻→蛋白尿→CKD。人のAlport症候群に相当。雄が重症。
診断
サモエド遺伝性糸球体症の診断はUPC(尿蛋白/クレアチニン比)上昇と家族歴から疑う。雄犬で発症年齢3-4ヶ月、UPC>2.0。進行性蛋白尿→腎不全。腎生検:糸球体基底膜の菲薄化・分裂(電子顕微鏡が確定的)。COL4A5遺伝子変異(X連鎖性)。雄で重症、雌はキャリアで軽度蛋白尿。血液検査:BUN/Cre上昇(進行期)、低アルブミン血症。血圧測定:腎性高血圧の合併。聴覚検査:感音性難聴の合併(アルポート症候群様)。鑑別:蛋白漏出性腎症(他の原因)、アミロイドーシス。雄の予後は不良(15ヶ月齢前後で腎不全)。
治療
根治療法なし。X連鎖遺伝(COL4A5遺伝子変異)。雄は重症(若齢1-3歳で蛋白尿→腎不全に進行)、雌は軽症/キャリア。ACE阻害薬:エナラプリル/ベナゼプリル(0.5 mg/kg PO q12-24h)で蛋白尿軽減・糸球体内圧低下(早期開始が重要)。腎臓食(リン・蛋白制限)。高血圧管理:アムロジピン(0.1-0.25 mg/kg PO q24h)。脱水:皮下補液。貧血(PCV<20%):ダルベポエチンα。UPC(尿蛋白/クレアチニン比)で蛋白尿モニタリング。遺伝子検査(COL4A5)で繁殖管理 — 雌キャリアも繁殖除外推奨。腎生検で基底膜の菲薄化・分裂(電子顕微鏡)。Ref: Lees et al. 1998, Zheng et al. 1994.
予防
DNA検査による繁殖管理。治療法なく支持療法のみ。
予後
犬におけるサモエド遺伝性糸球体症の予後は腎機能・尿路病変の重症度と進行速度により異なる。早期診断と病態に応じた適切な治療・モニタリングにより多くの症例で良好な経過が期待できるが、進行例・合併症を伴う例では予後が悪化しうる。
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