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犬 (Dog) 重度

フィラリア症(犬糸状虫症)

Heartworm Disease / フィラリア症(犬糸状虫症)

概要

Dirofilaria immitisが犬の肺動脈と右心室に寄生する致死的寄生虫疾患。蚊を介して感染し、成虫は体長15〜30cmに達する。感染から症状発現まで6〜7ヶ月の潜伏期間。日本を含む温暖な地域で広く分布。

主な症状

bloated abdomen coughing difficulty breathing excessive panting lethargy weight loss

原因

Dirofilaria immitis。蚊(Aedes, Culex, Anopheles等)が中間宿主。感染犬の血液中のミクロフィラリア→蚊体内でL3に発育→新たな犬への感染。屋外飼育犬、予防薬未投与犬がハイリスク。

病態生理

感染性L3幼虫(蚊刺咬)→皮下・筋肉で発育→L5幼虫→血流経由で肺動脈に到達→成虫化。肺動脈内膜の機械的損傷→増殖性動脈内膜炎→肺高血圧→右心不全。大量寄生時:後大静脈症候群(Caval syndrome)→溶血性貧血、DIC、ショック。死滅虫体による肺動脈血栓塞栓症も重大な合併症。

治療

【成虫駆除】メラルソミン(イミティサイド)2.5mg/kg 深部筋注×3回(AHSプロトコール)。駆除前:ドキシサイクリン(10mg/kg BID 4週間、共生菌Wolbachia駆除)+予防薬開始(ミクロフィラリア対策)。成虫駆除後6〜8週間の厳格な運動制限(死滅虫体による肺血栓塞栓症予防)。Caval syndrome:外科的虫体摘出(経頸静脈法)。Slow kill法(予防薬のみ長期投与)は耐性形成リスクがあり非推奨。

予防

月1回の予防薬投与(イベルメクチン、ミルベマイシン、モキシデクチン等)が最も有効。年1回の抗原検査。蚊の発生する4月〜12月(日本)に通年投与が推奨。投与開始前のフィラリア検査が必須。

予後

クラス1〜2(軽症〜中等症):メラルソミン治療で良好(成功率98%)。クラス3(重症):治療リスクは高いが多くは回復可能。Caval syndrome:緊急手術で50〜80%生存。無治療では致死的。

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※ 本ページの情報は獣医学的参考資料であり、診断・治療の代替ではありません。実際の診療は必ず獣医師にご相談ください。
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