先天性門脈体循環シャント
概要
肝臓を迂回する先天性血管異常で、肝性脳症を引き起こします。
主な症状
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臨床徴候
犬における先天性門脈体循環シャントの臨床徴候は病態と進行段階により多様である。一般的非特異的所見(食欲不振・元気消失・体重減少)に加え、罹患臓器・系統に特異的な症状が顕在化する。病歴聴取と詳細な身体検査により症状パターンを把握し、補助検査で確定診断に至る。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
原因
先天性の血管異常。肝外性:ヨークシャーテリア(最多)、マルチーズ、シーズー。肝内性:アイリッシュウルフハウンド、ラブラドール。1歳未満での食後異常行動(食後脳症)で発見されることが多い。血清胆汁酸の食前食後試験でスクリーニング。
病態生理
門脈血が肝臓を迂回→アンモニア等の毒素が肝臓で解毒されず全身循環→高アンモニア血症→肝性脳症(旋回運動・けいれん・流涎・昏迷)。食後に増悪(蛋白摂取後のアンモニア産生増加)。肝外性(小型犬に好発)と肝内性(大型犬に好発)に分類。尿酸塩結石を合併。
診断
若齢犬の発育不良、食後の神経症状(旋回、失見当、発作、流涎)、多飲多尿。生化学: BUN低値、Alb低値、血糖低値。食前/食後胆汁酸ペア検査(食後>100μmol/Lで診断的)。血中アンモニア上昇(食後に顕著)。腹部エコーで異常血管を検出(感度80-95%)。門脈造影CT(CTA)でシャント血管の走行・形態を3D評価(術前計画に必須)。尿検査: 尿酸アンモニウム結晶。肝外シャント(小型犬に多い)vs肝内シャント(大型犬)。
治療
内科管理:低蛋白食(肝臓病用療法食)、ラクツロース(0.5 mL/kg PO q8-12h 軟便維持)で腸内アンモニア吸収抑制、メトロニダゾール(7.5 mg/kg PO q12h)またはアンピシリン。外科治療が根治的:アメロイドコンストリクター(ameroid constrictor)またはセロファンバンディングによる緩徐な血管閉鎖が主流。完全結紮は門脈圧亢進リスクあり。CT血管造影で術前評価。術後は門脈圧モニタリング、発作予防。肝内シャントは介入放射線学(コイル塞栓術)も選択肢。好発犬種:ヨークシャーテリア、マルチーズ(肝外)、アイリッシュウルフハウンド(肝内)。
予防
好発犬種の繁殖管理。食後の異常行動を示す若齢犬は胆汁酸検査→CT血管造影で確定診断。外科的閉鎖(ameroid constrictor/cellophane band)が根治療法。
予後
犬における先天性門脈体循環シャントの予後は基礎病態・治療時期・併存疾患により異なる。早期診断と適切な治療介入により多くの症例で良好な予後が期待される。継続的なモニタリングと飼育環境管理が長期予後改善に重要である。重症例・進行例・基礎疾患合併例では予後が悪化することがある。
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