膝蓋骨内方脱臼
概要
先天性・発達性の膝蓋骨内方変位。小型犬で最も多い整形外科疾患。Grade I〜IVで評価し、両側性が50%。Grade 3〜4では前十字靭帯断裂の併発リスク15〜20%。
主な症状
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臨床徴候
犬における膝蓋骨内方脱臼の臨床徴候は罹患部位と病態の急性/慢性により異なる。急性外傷: 跛行(非荷重)・腫脹・疼痛・変形(骨折・脱臼)。慢性変性: 起立困難・運動不耐性・跛行(運動後悪化・寒冷で悪化)・関節腫脹(OA等)。発達性異常: 子犬期から軽度跛行(股関節・肘関節形成不全)。感染性: 発熱を伴う関節腫脹・疼痛(敗血症性関節炎)。
原因
先天性・発達性(多因子遺伝、最多)。内側脱臼(MPL)が小型犬の90%以上を占め、両側性が50%。好発犬種:チワワ、ポメラニアン、トイプードル、ヨークシャーテリア、マルチーズ、柴犬。外側脱臼(LPL)は大型犬に多い。
病態生理
大腿骨滑車溝の浅小化+大腿四頭筋のアライメント異常→膝蓋骨の内方変位→脱臼の反復→脛骨内旋・弓状変形(慢性例)→関節軟骨の摩耗→二次性変形性関節症。Grade I(手動で脱臼、自然整復)〜Grade IV(恒常的脱臼、整復不能)。前十字靭帯断裂の併発リスクが高い(15〜20%)。
診断
整形外科検査で膝蓋骨の内方脱臼を確認。Putnamグレーディング(I: 手動脱臼→自然整復、II: 手動or自然脱臼→手動整復、III: 常時脱臼→手動整復可、IV: 常時脱臼→整復不能)。X線で膝蓋骨の位置、脛骨粗面の内側変位、大腿骨溝の浅さを確認。小型犬(ポメラニアン、チワワ、ヨークシャー・テリア)に好発。Grade II以上で手術適応。
治療
Grade 1(偶発所見、跛行なし):保存療法—NSAIDs頓用、体重管理、関節サプリメント、滑り止め床、ジャンプ制限。Grade 2(間欠的跛行):進行や疼痛がある場合に手術推奨。Grade 3〜4:手術適応。外科手技:(1)滑車溝形成術(楔状陥凹術または骨ブロック陥凹術)—滑車溝を深くする;(2)脛骨粗面転位術(TTT)—大腿四頭筋のアライメントを矯正;(3)関節外軟部組織再建(内側縫縮/外側解放);(4)脛骨回転矯正骨切り(重篤な捻転例)。Grade 3〜4では複数手技の組み合わせ。前十字靭帯断裂合併時は同時処置(TPLO優先)。術後管理:6〜8週の厳格な安静、リードウォーク、理学療法(自動ROM→漸進的筋力強化)。正常機能回復12〜16週。NSAIDs(カルプロフェン4.4 mg/kg SID 7〜14日)。長期OA管理:メロキシカム0.05〜0.1 mg/kg SID、EPA/DHA補充。
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予防
好発犬種の繁殖管理(繁殖前の膝蓋骨評価)、適正体重の維持、滑り止め床、ジャンプ制限。Grade 2の早期手術がOA進行を予防。
予後
Grade 1〜2:保存療法または早期手術で優良。Grade 3〜4:適切な手術で正常機能への回復85〜90%。対側肢のモニタリング必須(50%両側性)。進行したGradeではOAが進行—長期関節管理が必要。
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