咀嚼筋炎
概要
咀嚼筋の免疫介在性炎症で、痛みと開口障害を引き起こします。
主な症状
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臨床徴候
犬における咀嚼筋炎の臨床徴候は病態と進行段階により多様である。一般的非特異的所見(食欲不振・元気消失・体重減少)に加え、罹患臓器・系統に特異的な症状が顕在化する。病歴聴取と詳細な身体検査により症状パターンを把握し、補助検査で確定診断に至る。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
原因
免疫介在性(2M線維ミオシン結合蛋白に対する自己抗体)。大型犬:ジャーマンシェパード、ラブラドール、ゴールデン、キャバリアに好発。若齢〜中齢犬に多い。血清抗2M抗体検査(UCSD)で確定診断。
病態生理
咀嚼筋に特異的な2M筋線維のミオシン結合蛋白に対する自己抗体→咀嚼筋(側頭筋・咬筋・翼状筋)の免疫介在性炎症→急性期:筋腫脹・疼痛・開口障害・摂食困難。慢性期:筋萎縮・線維化→恒常的開口制限。四肢の筋は2M線維を含まないため侵されない(咀嚼筋に限局)。
診断
急性期: 咀嚼筋(側頭筋、咬筋)の腫脹・疼痛、開口困難(trismus)。慢性期: 咀嚼筋萎縮、開口制限(線維化)。眼球陥凹(側頭筋萎縮による)。血清中抗2M線維抗体(2M fiber antibody ELISA)が確定診断—感度90%、特異度100%。CK上昇(急性期)。筋生検で2M線維の壊死・リンパ球浸潤。鑑別: 多発性筋炎(四肢筋も侵す)、三叉神経炎、破傷風、外傷性。大型犬に好発だが全犬種で発生。
治療
犬における咀嚼筋炎の治療には鎮静または麻酔下での歯科検査が必要である。不正咬合は種と重症度に応じて歯のトリミング、研磨、抜歯が必要となる。根尖膿瘍には排膿、デブリードマン、全身性抗菌薬が必要である。歯周病治療にはスケーリング、研磨、重度罹患歯の抜歯を含む。種に適した鎮痛薬による疼痛管理が不可欠である。食事の調整により回復を促進し再発を予防する。
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予防
確実な予防法はない。急性期の早期免疫抑制療法(プレドニゾロン1〜2mg/kg/日、4〜6ヶ月の漸減)が線維化予防に重要。治療中止が早すぎると再発しやすい。
予後
犬における咀嚼筋炎の予後は基礎病態・治療時期・併存疾患により異なる。早期診断と適切な治療介入により多くの症例で良好な予後が期待される。継続的なモニタリングと飼育環境管理が長期予後改善に重要である。重症例・進行例・基礎疾患合併例では予後が悪化することがある。
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