上腕二頭筋腱滑膜炎
概要
肩関節の上腕二頭筋腱とその腱鞘(結節間溝)の炎症性疾患。中〜大型犬の成犬に慢性前肢跛行を引き起こす。肩関節OCD・回旋筋板病変を合併することが多い。関節内コルチコステロイド注射または外科的腱切除に良好に反応する。
主な症状
原因
反復的な負荷運動(スポーツ犬・牧羊犬・作業犬)。急性外傷。肩関節OCDに続発(骨軟骨フラップによる腱刺激)。好発犬種:ラブラドール、ゴールデンレトリーバー、ジャーマンシェパード、ロットワイラー、ボーダーコリー。中〜高齢犬(3〜8歳)。
病態生理
上腕二頭筋腱への反復性微小外傷または急性損傷→腱鞘内の炎症性滲出液→腱と腱鞘の癒着→肩関節屈曲/伸展時と二頭筋テンション試験時の疼痛。慢性例では腱内石灰化(石灰性腱症)が生じる。肩関節OCD・回旋筋板断裂・内側上腕関節靭帯断裂の合併が多い。
治療
保存療法(非複合例の第一選択):4〜6週の厳格な安静(リードウォークのみ)、NSAIDs(カルプロフェン4.4 mg/kg SID、4〜6週)、理学療法。関節内コルチコステロイド注射(メチルプレドニゾロンアセテート20〜40 mg またはトリアムシノロン6〜9 mg+リドカイン)を超音波ガイド下で上腕二頭筋腱滑液包に注入—60〜70%で有効;4〜6週後に1回まで反復可。衝撃波療法(ESWT):2週間隔で3セッション—石灰性腱症の代替療法。外科的治療(2〜3ヶ月の保存療法が無効な場合、または構造的病変合併例):上腕二頭筋腱切除術(起始部での腱切断、後退させる—単純で有効)またはテノデーシス(腱を上腕骨骨幹部に再付着—より多くの機能を保持);必要に応じOCDフラップ除去・回旋筋板修復を同時施行。関節鏡下腱切除:低侵襲で優先される術式。術後リハビリ:8〜12週かけた漸進的荷重とROM運動。長期:関節サプリメント(EPA/DHA、グルコサミン)、活動制限。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • For Joint (MSM+グルコサミン/コンドロイチン): 関節軟骨保護・抗炎症 • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意
予防
作業犬・スポーツ犬のウォームアップ・クールダウン、急激な強度増加を避ける。体重管理。好発犬種での前肢跛行の早期評価。
予後
保存療法+コルチコステロイド注射:60〜70%で機能回復;再発率20〜30%。外科的(腱切除/テノデーシス):適切なリハビリで80〜90%がスポーツレベルの機能回復。肩関節OCD・回旋筋板の合併病変が対処されない場合は予後が悪化。作業犬・スポーツ犬では以前のパフォーマンスレベルに戻れない場合がある。
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