心室頻拍
概要
心室のリエントリー回路または異常自動能による心室頻拍(HR>160/分)→心拍出量低下→失神・虚脱→心室細動→心停止。犬で最も多い致死性不整脈。
主な症状
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臨床徴候
犬における心室頻拍の臨床徴候は心機能低下の程度により段階的に進行する。代償期(無症候): 心雑音が唯一の所見、聴診で発見される。早期心不全: 運動不耐性・咳(左心不全)・腹水(右心不全)。進行性心不全: 呼吸困難・チアノーゼ・失神・夜間咳。末期: 起座呼吸・肺水腫・心原性ショック。猫では FATE(大動脈血栓塞栓症)として急性後肢麻痺・冷感・疼痛・パルス消失で発症することがある。
原因
DCM(ドーベルマン・グレートデン)、脾臓血管肉腫(カテコールアミン分泌)、外傷性心筋炎(交通事故後24-72時間)、GDV(迷走神経刺激・代謝異常)、ARVC(ボクサー)、心筋炎、低カリウム血症、ジギタリス中毒、ジャーマンシェパード遺伝性不整脈(VAGS)。
病態生理
心室筋のリエントリー回路または異常自動能→心室の急速な異所性興奮(HR>160-300/min)→心室充満時間の短縮→心拍出量低下→失神・虚脱。持続性VT→心室細動(VF)→心停止・突然死。犬で最も多い致死性不整脈。R-on-T現象(VPCがT波に乗る)はVFへの移行リスクが最も高い。
診断
心電図でワイドQRS頻拍(>160 bpm)を確認。3連発以上の心室性期外収縮が連続。ホルター心電図で24時間の不整脈頻度・重症度を評価(>1,000 VPCs/日は有意)。心エコーで基礎心疾患(DCM、SAS、腫瘍)を評価。血液検査で電解質異常(K⁺, Mg²⁺)を除外。トロポニンI上昇は心筋障害を示唆。ボクサー(ARVC)、ドーベルマン(DCM)に好発。
治療
持続性VT(緊急):リドカイン2 mg/kg IV緩徐(5分間隔で最大3回)→CRI 25-80 ug/kg/min。難治性:プロカインアミド8-15 mg/kg IV over 20分(低血圧/QRS延長>25%で中止)。血行動態不安定:DC電気的除細動(二相性100-200 J、プロポフォール4-6 mg/kg IV鎮静後)。基礎疾患治療:GDV解除、脾臓摘出、低K補正。慢性:ソタロール1.5-3.5 mg/kg PO q12h(ボクサーARVC・GSD VAGSに最適)またはメキシレチン5-8 mg/kg PO q8h+アテノロール0.5 mg/kg PO q12-24h。24hホルターでVPC<1000/dayを目標に。
予防
リスク犬種の定期心臓モニタリング(ECG・ホルター・心エコー):ボクサー(ARVC)、ドーベルマン(潜在性DCM)、ジャーマンシェパード(VAGS)。脾臓血管肉腫の早期摘出。ボクサーARVCはVPC>1000/day時にソタロール予防投与。
予後
基礎疾患による。外傷性心筋炎VT:良好(5-7日で回復)。ボクサーARVC:慎重(突然死リスク;ソタロール使用で1年生存率約80%)。ドーベルマンDCM+VT:不良(生存期間中央値6-12ヶ月)。GDV関連:GDV迅速解除で良好。
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