心室中隔欠損症(VSD)
概要
心室間の先天性欠損孔で、異常な血流を引き起こします。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示す犬の他の疾患を確認できます
原因
犬における心室中隔欠損症(VSD)の原因には品種特異的遺伝素因が大きく関与する。心筋症(DCM/HCM)の素因犬種・猫品種、変性性弁膜疾患(小型犬の僧帽弁粘液腫様変性)、先天性心奇形(PDA・VSD・ASD)、不整脈源性心筋症が主要病因。二次性要因として高血圧、甲状腺機能亢進症(猫)、栄養性(タウリン・カルニチン・グレインフリー食関連DCM)、薬剤性、感染性心内膜炎が含まれる。早期診断(雑音検出後の心エコー)と段階的治療が予後改善に直結する。
病態生理
犬における心室中隔欠損症(VSD)の病態生理は心筋・弁・伝導系・心膜の機能/構造異常により心拍出量低下と二次的代償機構が連鎖的に展開する。HCMでは心筋肥厚→左室流出路狭窄→左房圧上昇→肺水腫を引き起こす。DCMでは心筋収縮力低下→心室拡張→低心拍出量→神経内分泌系活性化(RAAS・交感神経)→さらなる心室リモデリングが進行する。弁膜疾患では逆流による前負荷増大→心室拡張→不全進行。末期では肺水腫・腹水・心原性ショック・致死的不整脈に進展する。
治療
小さいVSD(制限型):多くは無症状で治療不要、6-12ヶ月毎の心エコーモニタリング。大きいVSD(非制限型):うっ血性心不全管理としてフロセミド(2-4 mg/kg PO q12h)、ピモベンダン(0.25-0.3 mg/kg PO q12h)、エナラプリル(0.5 mg/kg PO q12-24h)。肺高血圧合併時はシルデナフィル(1-2 mg/kg PO q8-12h)。感染性心内膜炎予防(歯科処置時に抗菌薬)。外科的パッチ閉鎖は犬では限定的施設のみ(心肺バイパス必要)。定期的心エコー・胸部X線で心拡大・肺血管過灌流をモニタリング。Ref: Oyama et al. 2009, Bonagura 2012.
予防
犬における心室中隔欠損症(VSD)の予防は遺伝性疾患の繁殖管理と早期発見が中核。DCM/HCM素因品種(ドーベルマン・コッカースパニエル・メインクーン・ラグドール)の繁殖前心エコースクリーニング。グレインフリー食関連DCM予防のためタウリン・カルニチン適切量含有食を選択。フィラリア予防徹底による右心不全予防。歯科ケアによる感染性心内膜炎予防。定期的聴診による心雑音早期発見。
予後
犬における心室中隔欠損症(VSD)の予後は欠損の種類・大きさによるが、早期の外科的・カテーテル治療で良好となりうる。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
循環器の他の疾患(犬)
VetDictで犬の鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。