← トップへ戻る
犬 (Dog) 循環器 緊急

カフェイン中毒

Caffeine Toxicosis / カフェイン中毒

概要

カフェイン(メチルキサンチン)中毒—チョコレートのテオブロミン中毒と同じ機序で類似した心臓・CNS効果。毒性量:63〜140 mg/kg(致死量150〜200 mg/kg)。一般的な摂取源:コーヒー豆(10〜15 mg/g)・コーヒー粕(カフェインが蓄積—堆肥使用時に高リスク)・エナジードリンク(80〜300 mg/缶)・カフェイン錠(200 mg/錠)・プレワークアウトサプリメント。犬での半減期:4.5時間。小型犬は特にリスクが高い—1本のエナジードリンクで小型犬の毒性量を超えうる。

主な症状

※ 症状をクリックすると、その症状を示す犬の他の疾患を確認できます

臨床徴候

犬におけるカフェイン中毒の臨床徴候は毒性物質の種類と曝露量により急性〜慢性まで多様。消化器症状(嘔吐・下痢・流涎・腹痛)が最も一般的な初期所見。神経毒では振戦・痙攣・運動失調・昏睡。肝毒では黄疸・凝固障害・肝性脳症。腎毒では乏尿・尿毒症徴候。血液毒では貧血・出血傾向・メトヘモグロビン血症。心血管毒では不整脈・低血圧・ショック。急性曝露では症状発現が迅速で、早期除染と支持療法が予後を決定する。

原因

コーヒー豆とコーヒー粕(10〜15 mg/gカフェイン—堆肥/マルチのコーヒー粕は犬が掘り起こすため特に危険)。エナジードリンク(80〜300 mg/缶—モンスター・レッドブル1缶に160 mgのカフェイン含有)。カフェイン錠(200 mg/錠—1錠が3 kgの犬にとって毒性量になりうる)。プレワークアウトサプリメント(多くは1服200〜400 mg)。強い紅茶/ティーバッグ(1杯20〜70 mg、ティーバッグはより高濃度)。ガラナ含有製品。カフェイン含有ダイエット薬。

病態生理

カフェイン→ホスホジエステラーゼ阻害(cAMP上昇)+アデノシン受容体拮抗→心臓:洞頻脈・VPC・心室頻拍;CNS:興奮・振戦・けいれん;利尿(腎血管拡張+ADH作用阻害)。カテコラミン放出→高血圧・頻脈性不整脈。チョコレートのテオブロミンと同じ機序。カフェインは犬で腸肝循環を受け、症状の遷延に寄与する。

診断

病歴聴取でカフェイン含有製品(コーヒー、エナジードリンク、カフェイン錠剤)の摂取を確認。中毒量: >20 mg/kg(興奮)、>40 mg/kg(心毒性)、致死量: 140-150 mg/kg。心電図で頻脈性不整脈(洞性頻脈、VPC、心室頻拍)を確認。血圧上昇。身体検査で興奮、振戦、多尿、嘔吐、下痢。血液検査は概ね正常。メチルキサンチン検出可。催吐+活性炭。

治療

消化管除染(摂取後2〜4時間以内、意識明瞭、心臓症状なし):アポモルヒネ0.03 mg/kg IV→活性炭1〜3 g/kg PO 6〜8時間毎×2〜3回(腸肝循環—活性炭の反復投与が必須)。IV輸液(LRS 2〜4 mL/kg/h):尿中カフェイン排泄促進・脱水補正。心臓不整脈:リドカイン2〜4 mg/kg IV→25〜75 μg/kg/分CRI(VT);プロプラノロール0.02〜0.06 mg/kg IV(難治性VT)。けいれん:ジアゼパム0.5〜1 mg/kg IV→フェノバルビタール2〜4 mg/kg IV。筋振戦:メトカルバモール22〜44 mg/kg IV。制吐:マロピタント1 mg/kg SC。鎮静(激越/不安):アセプロマジン0.05 mg/kg IM。毒性量では最低24時間入院。

予防

コーヒー・コーヒー粕・エナジードリンク・カフェインサプリメントをペットがアクセスできない場所に保管。犬がアクセスできる場所でのコーヒー粕の堆肥化禁止。エナジードリンク(缶・ボトル)を床に放置しない—甘い残留物に犬が引き寄せられる。プレワークアウトサプリメントは密封容器に保管。

予後

軽度〜中等度(<100 mg/kg):GI除染+活性炭反復で良好。重度(>150 mg/kg、心臓不整脈):慎重—VTと心停止リスク。非常に高用量(>200 mg/kg):積極的心臓管理なしでは不良。支持療法で通常24〜36時間以内に回復。予後はチョコレートのテオブロミン中毒に類似。

関連する薬品

💊 フェノバルビタール 💊 モルヒネ 💊 リドカイン 💊 アセプロマジン 💊 メトカルバモール 💊 プロプラノロール 💊 活性炭 💊 アポモルフィン

※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます

循環器の他の疾患(犬)

犬の全疾患を見る →

VetDictで犬の鑑別診断を行う

症状チェッカーを使う

関連する疾患

熱中症 (共通4症状) 後天性門脈体循環シャント (共通4症状) メタアルデヒド中毒(ナメクジ忌避剤) (共通4症状) 門脈体循環シャント (共通4症状) クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症) (共通3症状) 慢性腎臓病(CKD) (共通3症状) レプトスピラ症 (共通3症状) 門脈体循環シャント(肝シャント) (共通3症状)
📋 犬の疾患一覧を見る →
※ 本ページの情報は獣医学的参考資料であり、診断・治療の代替ではありません。実際の診療は必ず獣医師にご相談ください。
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。