骨端線骨折(サルター・ハリス骨折)
概要
未成熟犬(<1歳)の骨端線骨折。サルター・ハリス分類(I〜V型)。早期骨端線閉鎖による肢長差・角度変形のリスク。好発部位:遠位橈尺骨・遠位大腿骨・近位脛骨・遠位上腕骨。診断後6〜12時間以内の緊急整形外科手術が必要。
主な症状
原因
外傷(転落・交通事故・踏まれる・激しい遊び)、または全身的に脆弱化した子犬での軽微な外傷(栄養性二次性副甲状腺機能亢進症)。V型:軸圧による圧挫。骨端線閉鎖まで(骨・種によって異なる、犬では通常3〜18ヶ月)。
病態生理
サルター・ハリス分類:I型—骨端線のみ横断骨折(最良予後);II型—骨端線+骨幹端骨片(最多、良好予後);III型—骨端線+骨端骨片(骨端部血流リスク);IV型—骨幹端+骨端線+骨端を貫く骨折(解剖学的整復必須);V型—骨端線の圧挫(最悪予後、成長遅延で遡及的に診断されることが多い)。若齢犬では靭帯より骨端軟骨の方が力学的に弱い→靭帯損傷より先に骨端線骨折が起こる。骨端線の早期閉鎖→肢短縮または角度変形(遠位尺骨損傷では橈骨湾曲症候群)。
治療
緊急整形外科手術。I〜II型:全身麻酔下での徒手整復+外固定(ロバートジョーンズ包帯・副木)(遠位骨折)、または平滑ピン/Kワイヤーによる外科的固定(骨端線を螺子ネジで貫通させない)。III〜IV型:観血的整復+内固定(ORIF)—関節面の解剖学的再建が必須;交差Kワイヤーまたは骨端線に平行な小型ラグスクリュー。V型:保存的管理で経過観察(X線による骨端線閉鎖のモニタリング)。インプラント:骨端線への影響最小の平滑Kワイヤー推奨(螺子ネジより優先)。骨癒合後4〜6週でピン抜去。合併症:早期骨端線閉鎖(遠位尺骨損傷で最多—角度変形が生じた場合は予防的尺骨骨切り)、インプラント移動、感染、偽関節。橈骨湾曲症候群(遠位尺骨早期閉鎖):早期(<4週)なら尺骨骨切り+動的プレート牽引;確立した変形は矯正骨切り術。周術期抗菌薬:アモキシシリン・クラブラン酸12.5〜25 mg/kg BID 5日間。NSAIDs:メロキシカム0.1 mg/kg SID(食事と共に)。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意
予防
子犬の外傷防止(安全な環境、監視下での遊び)。適切な栄養管理(AAFCO認定の大型犬子犬用市販食—過剰なCa/Pサプリメントを避ける)。リスク犬種を把握しモニタリング。
予後
I〜II型:迅速な外科治療で優良—大部分で正常な肢長と機能。III〜IV型:解剖学的関節面整復が達成できれば良好;不整合が残れば早期OAのリスク。V型:慎重—大部分で早期骨端線閉鎖が起こる;その後の変形程度が予後を決定。遠位尺骨損傷:角度変形(橈骨湾曲)のリスクが最高—骨端線閉鎖まで3〜4週毎のX線によるモニタリングが必要。全体的に診断後6〜12時間以内の手術で予後が大幅に改善。
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