右大動脈弓遺残
概要
食道を圧迫する血管輪異常で、離乳期の子犬に吐き戻しを引き起こします。
主な症状
原因
先天性の血管発生異常。ジャーマンシェパード・アイリッシュセッター・ボストンテリアに好発。離乳期(3〜4週齢)に固形食を開始すると吐き戻しで発症。胸部X線で食道の限局的拡張、バリウム造影で確認。
病態生理
胎生期の右第4大動脈弓が遺残→大動脈・肺動脈・動脈管遺残で食道が環状に絞扼→離乳後に固形食が狭窄部口側に貯留→吐き戻し(regurgitation)→成長不良。狭窄部口側の食道が拡張(二次性巨大食道症)。最も多い血管輪異常はPRAA(95%)。
治療
外科的血管輪切離が根治的。早期手術(診断後速やかに)が予後を大きく左右。術前管理: 経管栄養(鼻食道チューブ or 胃瘻チューブ)— 栄養状態の改善。 誤嚥性肺炎の治療(存在時): アンピシリン/スルバクタム + エンロフロキサシン。 立位での給餌(Bailey chair — 重力排出を促進)。手術: 左第4肋間開胸。動脈管索(ligamentum arteriosum)の二重結紮+切離。 食道の確認: 狭窄部の鈍的剥離。バルーン拡張(術中 or 術後)。 食道壁の菲薄化・虚血に注意(長期圧迫による)。術後管理: 少量頻回の段階的固形食移行(流動食→ペースト→固形)— 4-6週間。 立位給餌の継続(食道拡張が残存するため)。 胸腔ドレーン管理。疼痛管理。好発: ジャーマンシェパード、アイリッシュセッター、グレートデーン。診断: 食道造影(バリウム — 心基部での食道拡張)。CT血管造影。予後: 早期手術で良好(80-90%改善)。慢性例は食道拡張が残存し予後不良。
予防
好発犬種の繁殖管理。離乳期の吐き戻しは早期に精査。早期の外科的リング切断が予後良好。術後も二次性巨大食道症が残存する場合は立位給餌で管理。
予後
栄養性疾患の多くは原因となる栄養不均衡の是正により良好な予後が期待できる。早期に適切な食事矯正とサプリメント補充が開始されれば、多くの臨床症状は可逆的である。しかし成長期の骨格変形や重度の神経障害など、長期の栄養欠乏により不可逆的な構造変化が生じた場合は完全な回復が困難である。継続的な栄養モニタリングと食事管理が再発防止に不可欠である。
関連する薬品
※ 薬品辞書で詳細な投与量・副作用情報を確認できます
循環器の他の疾患(犬)
VetDictで犬の鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。