肉芽腫性髄膜脳脊髄炎
概要
免疫介在性CNS炎症疾患(MUOスペクトラムの一部)。血管周囲性の単核球浸潤による肉芽腫形成。3型:播種型(最多、急性多巣性)・局在型(腫瘤形成型、脳腫瘍との鑑別が必要)・視神経型(急性失明)。小型犬・雌犬・1〜8歳に好発。NME/NLEとともにMUO(原因不明の髄膜脳炎)スペクトラムを構成。
主な症状
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臨床徴候
犬における肉芽腫性髄膜脳脊髄炎の臨床徴候は罹患部位(前脳・脳幹・小脳・脊髄・末梢神経)により局在化所見を示す。前脳: 発作・行動変化・盲目・周徊・運動失調。脳幹: 脳神経障害・運動失調・意識障害。小脳: 企図振戦・低測定運動失調・広基歩行。脊髄: 四肢麻痺/対麻痺・排尿障害・反射異常(病変高位で異なる)。末梢神経: 筋萎縮・反射低下・遠位部優位の弛緩性麻痺。
原因
原因不明の免疫介在性CNS疾患。好発犬種:トイプードル、マルチーズ、チワワ、ダックスフンド、WHWT、ペキニーズ。雌犬に多い。発症年齢:1〜8歳。MUOスペクトラム(GME+NME+NLE)の一部。確定診断には剖検時の組織病理(血管周囲性肉芽腫)が必要。
病態生理
脳・脊髄・髄膜への血管周囲性の単核球浸潤(リンパ球・マクロファージ・形質細胞)→肉芽腫形成→多巣性または局在性CNS破壊→臨床症状は病変部位を反映(前脳:けいれん・行動変化;脳幹:脳神経障害・前庭症状;脊髄:不全麻痺;視神経:失明)。誘因不明;免疫介在性機序が疑われる。
診断
MRIで脳実質の多発性/単発性の造影増強病変を確認。白質優位のT2/FLAIR高信号。CSF検査で単核球優位の中等度~高度細胞数増多(50-500/μL)、蛋白上昇。感染性脳炎(CDV、真菌、原虫)をPCR/血清学で除外。脳生検で血管周囲の肉芽腫性炎症を確認。トイプードル、テリア系の小型犬に好発。限局型(optic型含む)vs播種型。免疫抑制療法(プレドニゾロン+ara-C/シクロスポリン)。
治療
免疫抑制療法。プレドニゾロン(導入):1〜2 mg/kg/日 PO 4〜6週間→4〜6ヶ月かけて漸減(最低有効量まで)。併用プロトコル(より良い成績):プレドニゾロン+シタラビン(araC)50 mg/m² SC/IV 4週毎—最もエビデンスが支持される組み合わせ;プレドニゾロン+プロカルバジン25〜50 mg/m²/日 PO(3〜4週毎、CBC骨髄抑制モニタリング);プレドニゾロン+ミコフェノール酸モフェチル(MMF)10〜20 mg/kg PO BID。シクロスポリン5〜10 mg/kg SID(長期管理でのプレドニゾロン代替—トラフ値モニタリング)。ロムスチン(CCNU)60〜70 mg/m² PO 6週毎(難治例への追加—肝毒性あり、肝酵素モニタリング)。レフルノミド3〜4 mg/kg/日 PO(代替免疫抑制剤)。重積発作:ジアゼパム0.5〜1 mg/kg IV、レベチラセタム60 mg/kg IV負荷。抗浮腫:デキサメタゾン0.1〜0.25 mg/kg IV(脳浮腫/脳ヘルニア疑い時)。フェノバルビタール/レベチラセタムで発作の予防/管理。
予防
特異的予防法はない。早期診断と積極的な免疫抑制療法が予後を改善。好発犬種での微妙な初期症状(性格変化・軽度の運動失調・旋回運動)についてのオーナー教育。
予後
播種型GME:不良—免疫抑制療法の組み合わせで平均生存期間7〜18ヶ月(プレドニゾロン単独:1〜4ヶ月)。局在型GME:中等度—平均生存期間1〜3年。視神経型:視力の部分的回復の可能性あり。免疫抑制の減量時に再発が多い(40〜60%)—生涯治療が必要な場合あり。予後不良の予測因子:脳幹関与、初診時の重積発作、急速な進行。プレドニゾロン+シタラビンの組み合わせはプレドニゾロン単独より生存期間を有意に延長。
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